孤独なんて…空気のようなものだと思っていた。
何故なら、俺に人の温かさはなかったから…
体温を失っていくアイツを抱えながら…俺は初めてその言葉の意味を知った。
〜孤独〜
沢山の刃物で切りつけられた痕…紅く染まる空間。
普段の仕事で慣れていた…自然と吐き気は起こらなかった。
暗殺業に慣らされた体。
忌むべき体。
しかし、涙は止め度なく流れて…
「…っ、お前が死んで、俺に心が戻っても…っ、意味がないだろう。
本当に馬鹿だよ…っ」
夜が明けるまで…亡骸を抱きしめて、涙が枯れるまで泣き続けた。
これからなんて何も考えず、ただ失ったものだけを前にして…。
その頃、聖夜の祝い事から起きた住人達は異臭に気付く。
希には当たり前のことになってしまっている、人の血…臭い。
始めはトントンと遠慮がちに叩いていた家の戸が、反応がないため、ドンッドンッと荒くなる。
ガタン…と壊れされた戸から、数人の住人。
住人はすぐ、希と変わり果てた家の主を見つける。
その只ならぬ、張り詰めた空気に誰もが息を呑んだ。
一呼吸おいて…住人の一言。
「お…お前が殺したのか!!!」
声は震えていた。
血に濡れたアサシンの衣装…誰もが希の犯行を疑った。
「…」
「あぁ…俺が殺した。俺はアサシンギルドの希…悔しかったら、首を取りに来るがいい。」
ドスの低い声でキッと睨み返し、これ以上住民が近づかないようナイフを投げる。
「受けた恩を仇で返したな!!!この、奈落者!!!!」
「よせ…やめないか、俺たちまで殺されるぞ」
「…」
希はそれから何も言わず、その場を立ち去った。
アイツの家からは、すすり泣く声が木霊した。

0