7月24日(木)
6時台に相方から入ったメイルで起きる.そうだ!今日はわれわれの我々記念日じゃあないか!
我々記念日とは、遡ることぴったし3年、エーツーが「我々」というめくるめく世界について悟りを得た日を祝う記念日である.
トウキョウで活躍する、絶妙にひねたポップを繰り出すバンド「我々」から広がった、エーツーの勝手な我々ワールド.
スパゲッティをパスタと呼んだり、バラの花束とシャンペン持って彼女の部屋を訪ねたり、ボーダーシャツでフリスビーを投げたり、彼女はアメリカンチェリーのタルトが大好きだったり.
これは我々の歌通りの世界だが、そこから派生して、おんなはアイスクリームを落としたり、おんなの鼻の頭や口の端についたクリームやらパスタソースをさりげなくおとこが指で拭って食ったり、祭りに行けば行ったでおんなは下駄が痛くてうまいこと歩けなかったり男は射的がうまかったりするのだ.
といったふうにどこまでも果てしなく広がる我々ワールドへの観想.
この境地に至った日が、2000年7月24日というわけなのである.
その日、エーツーは白岡のせせらぎ公園というところで朝早くからライヴペインティングに励んでいた.炎天下に暴れながら叫びながら油絵を描いたので早々に疲れ果て、藤棚の下でせせらぎに足を浸しながら微睡み、疲れを癒していた.枕元に置いた小型ラジカセからは、最近ジャケ買いした「我々」が流れる.
曲は「サクラガサイタラ」.
微睡んだ頭に強烈なフレーズが突き刺さる.
「おっいしいパスタだぁって食べにいこ♪」
ぱ、ぱ、ぱぱぱっぱすた!?スパゲッティじゃなくてパスタ!!!!!
その後、わたしたちはサーティワンへ駆け込み、ダブルでコーンのアイスを食べました
(チョコミントと、確かストロベリー系のフレーバー).
マックじゃなくてモスに入りました(ほんとはフレッシュネスバーガーの方が望ましい).
そういったわけで、この日は我々ワールドへの意気込みを新たにするために極力我々ちっくに過ごしたいものだ.
1周年の時はテスト期間真っ最中で、一日我々だけを聴いて過ごすに留まった.2周年の時は気合入りまくりで、恥ずかしいくらい爽やかないでたちで朝マックを持って白岡せせらぎ公園に乗り込み、炎天下の中藤棚の下の母子をどかすために2時間にわたってキ●ガイの振りをし、めでたく聖地を奪回したのでせせらぎに足を浸しながら「サクラガサイタラ」を聴き、唄い、熱中症になりながら山の手線一週をして日差しが弱まるのを待ち、学校の図書館でレポート本を読み頭が痛くなり、我々マキシの中ジャケ(パフェを前にスゴク嬉しそうなコマツさん)を再現しようと甘党のナイスガイを無理やり参加させ、しかし結局はぱへでなく丼を喰ってるよくわからない写真を撮り、わたしはまたしても結局ハンバーグ、というしょうもないオチがついて終わったのだった.
さて今年は.なんせ昨日の「ヤケ酒の儀式」のせいで軽く二日酔いだ.
そんな起床の仕方は我々ではないだろう.
そしてえんえんとネットをする、これも我々ではないだろう.さらに「遺言状放送(人間椅子ね)」のビデオまで観てもうた.
シャワーを浴びる間、我々血中濃度を少しでも上げようと「見つけにくい星」や「暗い旅」を熱唱する.やっぱり通はこっち聴くよね、と2枚組アルバム「SONIC COMIC LOC」の、「ユータン」を聴く.
王道我々曲は「お菓子でできた人間、CD屋に行く」の方にほとんど入っているが、「ユータン」には「悪人志願」や「暗い旅」、「春一番」「アメリカンチェリー」「チーズバーガーの時間」などのちょっと通好みな名曲がたくさん入っているのだ.「サクラガサイタラ」もこっちだしね.
そして「お菓子でできた〜」の方を聴きながら学校に向かう.
どーにかして我々ちっくな装いをしたいと思ったが、ことごとく我々服(ボーダーとか)を持っていない上、なぜか紫地に黄緑と灰色の蜘蛛が描いてあるTシャツにインドくさいスカート、という最も我々っぽくない装いになってしまった.
学校にて、ミドリゴ(注:当時大学で主宰していたサークルです)後輩Mくんから忘れ物を受け取り図書館で本を借りて、同じくミドリゴ後輩Aちゃんも一緒にびっくりドンキーに行くことに.びっくりドンキー、全然我ってないぜ.
三人でひとつの「常夏豆乳ココナッツ」、「抹茶シャリシャリパフェ」、「四川風マーボーバーグステーキ」をつつき合う.MくんとAちゃんはとても可愛くていい子なカップルなので、わたしはいつも目を細める.
ドンキーの真髄について熱く語ったり、方言(ふたりはどっちも山形)を教えてもらったり、津軽弁と比較したり、きゃいきゃい楽しく時は過ぎた.それにしても、去年に引き続きまたしても我々記念日にハンバーグを喰っているわたし.よくよくハンバーグ因果の強い人間である.
二人と別れて帰路につく道中、サンクスで9月3日の人間椅子イベントのチケットを取り、途中下車をして聖地巡礼.夜の白岡せせらぎ公園、
夜露の降りた芝生が足を濡らす.蚊に刺されるのはごめんだったので藤棚の下でベンチに腰掛け、かの日の悟りの高揚感を思い起こし、そそくさと引き揚げる.
そんなこんなでやっぱりあんまり我々じゃなく、4回目の我々記念日は終わった.

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