浜離宮に行った。
木も草花も、今の気候を余すところなく満喫しているふうで、みずみずしい生命力に満ちていた。
牡丹園の牡丹はほとんど終わりかけだったが、白いのが群を抜いて美しかった。
昔はおかんの「ああいうごてごてした花はあんまり好きじゃない」という言葉に影響されて牡丹や芍薬があまり好きではなかった。が、いとうせいこうの「ボタニカルライフ」を読んで、牡丹に関する文章が大変素晴らしく、牡丹はいいなあと思うようになった。
豪勢な花はかっこいい。それに、あの白い牡丹はちっともごてごてなんかしてなくて、天国みたいだった。あの花にもぐって食事をするハナムグリがどれだけ気持ちよさそうで、羨ましかったことか。
確か親指姫ははなびらのふとんで寝ていた。はなびらの手触りがとても好きだ。きめ細かく、しっとりしていて、なまなましい。あんな肌になったらいいのに。あんな手触りのふわふわした服とかさ。
そして人間が比率的にハナムグリの大きさになるような巨大な花があったら、それは本当の天国だと思う。


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