カシオのデジタルカメラが登場して20年。当時は写真の足元にも及ばない仕上だったのが、もはや世の中デジカメ一色。
しかもモデルサイクルの早さも凄まじく、お陰で私のような「カメラなら何でも大好き」というお馬鹿さんにとっては激安な中古デジカメがホイホイ増殖すると言う嬉しいような「いーかげんにしなさい」状況なのだ。
ここではそんな過去の名機(迷機?)をバシバシ紹介しようと思うのだ。
2015/4/22
以前にボディとバッテリーだけという状態のLumixGF1をお迎えしてしまった話を書いた。暫らくは冬眠かな、それとも永久凍土になっちゃうのかな?なとど思いながらも、それとなく機会があればジャンクレンズが転がっていないかと墓場屋を定期巡回してるんだが、一向に出てくる気配なし。

そんなある日、所用で狭山まで行った帰りに武蔵野線を使わず新宿経由で帰ることにしたのだ。そう、久しぶりの新宿巡礼である。新たなランドマークとなった「ゴジラ」を見物して、まずは登山だ。したらさ、いきなり雪崩に巻き込まれたのだ。
登山口脇にあるB級ガラスケースに鎮座するのはGF2ボディ、7800円。おいおい、ボディだけ増やしてどうすんだよ。しかしそのGF-2はホットシューに電子ビューファインダーが乗っていたのだ。記憶を紐解くと秋葉原のカメラ屋ではこのファインダー単体でもそのくらいしていた(何でそんなこと覚えているんだよ)。
出してもらうと、ボディは使い込まれているがジャンクではないし、嬉しいことにバッテリーとチャージャーもあるではないか。GF1はチャージャーがないのでレンズを手に入れたら次はチャージャー探しになるが、こいつはレンズだけ、単騎待ちリーチになるじゃないか(おい!絶対間違ってるぞ)。これくださいな。アルプスで遭難事故発生!懐に凍傷を負った模様、緊急搬送願う!
こうなると意地でもレンズを何とかしたくなる。んで、巡礼の旅はハンティングツアーに変わるのだ。狩場は東口である。そしてオリンパスの14-42mm5千円を発見。捕獲しようと思ったが記憶の中でRikkieマイスターがもっとお安くゲットしたのを思い出し踏みとどまる。更に探すとパナの14-42を発見、4千円。結局これ以上の安物を発見できず、パナに決定。
うーん、それにしてもこのレンズは久しぶりに見る激安普請レンズだにゃ。EOSの激安ズームを思い出す。ここまでコストダウンに徹するのはたいしたもんだ。ズームリングのガサガサ感は銀塩時代のどんな安レンズにも出来ない芸当だわ。それでもオリと違ってレンズ内手ブレ防止を組み込んでるから実用的だし、デザイン的にもボディとの一体感があるから満足です。
GF2はGF1に比べて影が薄い存在ですが、自分はフルハイビジョンが撮れるからGF2の方が好きです(GF1はハイビジョンなんだよね)。ダイヤルの代わりにステレオマイクが装備ているのもポイント高し。動画派にはこっちの方が重要。実際、インテリジェンスオートとかいうモードにワンタッチで切り替えられるボタンがあるので、2モードを切り替えできる。今の自分には2モードあれは充分かな。
しかしその一方で出来ると思ってたら出来なかったのが、動画撮影中の静止画同時記録。ニコワンでも出来たからビデオメーカーのパナだったら出来て当然と思ってたけど、GF2ではまだできなかった。GH1ではできたようなので、まだこの時代は出し惜しみしてたのかな、残念。
本当に久しぶりにカメラにストラップをつけ首から提げる。うーん、何だかとっても懐かしい感触で少々くすぐったい。
そしてファインダーを覗くのも久しぶり。この構えだと自然と脇が閉まるんだよね。やっぱしファインダーって良いねぇ。暖かくなってきたし、GF2ぶら下げて写真散歩でもしようかしら(途中で巡礼の旅になりそうで怖い)。

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2015/4/19

今では日本のサブカルスポットとして国際的に有名な秋葉原(なんだか日本人が誤解されそうな気がするんだが)、そんなアニメとか萌えとかコスプレと無縁なディープスポットがある。東京ディズニーリゾートならぬ「秋葉原ジャンクリゾート」!
そこだけが親父密度が異常に高い。多くの店内には二回り以上古い世代のパソコンやパソコンを分解した残骸が並んでおり、普通の人が見たら「ここクリーンセンターなの?」と言われそうだ。パソコン中心だが墓場屋、バザール、廃棄物物産展など私の巡礼札所もあるのだ、僅かなお布施をして心の癒しを得るのだ。
中東‥じゃなくて中京で紛争が激化しているのに、ここ秋葉ジャンクゾーンは今日も乏しいお小遣いで参拝に訪れる親父たちで平和そのもの。
その日の巡礼では癒しを得ることが出来ず、モヤモヤした気分のままに「電気の屑屋(なにそれ?)」で何に使うのか解らない部品などを見ていたら、とある店先のテーブルで足が止まった。「えぇ?何でここにあるの?」
そう、それこそ1972年に登場した「アラジン」ことポラロイドSX-70。
さすがに店主もこれは「やんごとなき」物に違いないと感じたのか軒先のテーブルで雨風にさらされないようビニール袋に入った状態で鎮座していた(だったら店内に置けっけの)。
曖昧なんだが、随分前にテレビドラマで当時大人気の男優が使用して若者の人気を博したカメラだったんじゃないかしら(ドラマ自体は見てません。またある事情でこのドラマはDVD化もされてないらしい)。んで、当時の中古カメラ市では何とこのモデルだけで売り場の一角を占有していた記憶がある(値段も足元を見たようなもので呆れたものだった)。
しかしこのブームとは別にクラカメとしても由緒正しいカメラなのだ。
SX-70は1972年の登場。初代のポラロイドランドカメラは1948年に登場しているから、歴史的にはむしろ新参者なのだ。それでもこのカメラはそれまでのピールアパート方式をなくした非剥離方式(モノシート)フィルムを採用したカメラなのだ。
ピールアパート(ネガ転写)方式は、大判カメラのバックなどで使用されてる奴で、一旦ネガと呼ばれるシートに露光させ、それをフィルムに転写するしろもの。だから所定の現像時間後にネガの部分を剥がすと下から写真が現れる。
それに対して非剥離は読んで名のごとく、ネガシートがなくて剥離作業が不要というもの。われわれがよく知る「シャッター押したらフィルムが吐き出され、徐々に画像が現れる」というインスタントフィルムのスタイルはSX-70から始まった(間違ってたら御免なさい)
メカ的にも面白い。蛇腹折り畳み式なのに一眼レフレックスという相反する機能が同居している。プリズムを使用せずミラーだけで正立像を見せているアイデアが素晴らしい。あの簡易的なファインダーで果たして実用に耐える見え具合が出来るのかという疑問は実物を覗いて払拭された。下手な二眼レフより明るいじゃないか。

そして最大の魅力はポストモダン的スタイル。折りたたんだ状態はこれが一眼レフには絶対に「見えない」。その薄さは正しくアラジンと魔法のランプに出てくるマジックカーペット。ライトブラウンレザーが貼られたクロムメッキボディは洒落てる。カメラ好きの所有欲を掻き立てて止まないのだ。
‥と、前置きが長くなってしまったけど、店頭に置かれていたSX-70には12800円というシールが貼られていた。現在の中古がいくらするのか解らないが、これが今の価格じゃないかと思っていたら‥あれ?
シールと別に6600円と手書きされた紙もある。未チェックのジャンク扱いとはいえコレクションとして安い‥と、以前なら速攻で喰らいついたダボハセな私だが、今は当時ほど熱が高くないので一旦はスルーした。
しかしどーにも気になって仕方ない。うーん、やっぱしお迎えしようかしら。踵を返してテーブルの前に戻るとまだ置いてあった。ホット一息してもう一度手にとっていると店主が「端数オマケしますよ」と言い出した。
もう買う気充分だったが、調子に乗って「4000円だったら買いますよ」と言ってみたら何とそれでよいと言うではありませんか。店主からSX-70を強奪したのは言うまでもありません。
実際手にしてみるとミラーやスクリーンは綺麗な状態で、ファインダーを覗いているだけで心が癒されます。折りたたんだ状態からワンアクションで撮影体制にする過程でワクワク。ファインダーを覗いてニヤニヤ。折りたたみテーブルの上に置かれた姿にウットリ。一粒で三度美味しいとはこのカメラのことを言うようです。

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