後ピンじゃない。これはシャッターを切った後でピントを合わせるのだ。最初この言葉を耳にした時は、言葉の意味が解らなかった。そうライトロイルムである。
ライトロ自体はもっと前から売られていたがオモデジという立ち位置だった。しかしこのデジカメは実用になるレベルらしい。気になっていたが、昨年末、偶然ヨドバシカメラで説明会が開かれ実機を手にする機会を得た。
何となくB級SF映画に出てきそうな大柄のボディはどこか試作品の枠を出ていない感じ。んで、軽いインプレ後、実機を操作させてもらう。ミニチュア模型を撮ってモニターを見る。普通だ。しかしボケボケの背景に指を置いた瞬間、背景にピントが来て、手前の模型がボケたのだ。なんじゃこりゃ。
撮影前なら普通だけど見ているのは撮影後の画像なのだ。画像ソフトでも画像をボカすことは可能だ。しかしオリジナルのピンボケをジャスピンに戻すのは不可能だがイルムはそれが可能なのだ。
目が捕らえているのは対象ではなく対象に反射した光。だったら全ての反射を記録してしまえという理屈だ。さっぱり解らん。どうやらピントを面でなく空間で取り込むみたいだ。
ただ詳しく説明を聞くと、取り込める空間情報には範囲があるらしい。そりゃそうだ。まぁ現代のAF技術はAF黎明期と比較にならないくらい進化していてピントで困るシーンはほとんどなく、20万近い価値をイルムに見出すのは難しい。
とは言えジャスピンコニカから始まったAFの概念をひっくり返すものであることは間違いないし、デジタルだから可能になったものだ。
しかしデジタル技術は日進月歩。イルムの技術が浸透する前に、イルムをガラパゴスにする別の技術が既に出ていたのだ。

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