僕は社会人になってから急に読書に目覚めた。それまでは小中学校の読書感想文のために読んだのと、中学校の図書館でシャーロックホームズを全巻読んだ程度しか読書らしい読書をしたことがなかった。勉学に勤しまなくてはいけない高校時代も大学生になってからもろくに読書をしたことがない。(村上春樹とはまったく正反対だ)いままでの反動からか、見えざる手によるものか、突然読書をするのが止まらなくなった。仕事の行き帰り、週末の夜など暇を見つけては読み漁っておるわけです。
で、さすがにお給料のすべてを注ぎ込むわけにもいかず、名作などの比較的手に入り易い文庫本はBOOKOFFを利用している。しかも105円コーナーなるものがあって、僕はそこに並んでるものしか買わない。貧乏根性丸出しで、こんなことでは掘り出し物を買い逃すぞと思いつついつものコーナーに足が向いてしう悲しい性。
これまた突然、名著という奴を読んでやろうと思い、国語の教科書でしか見たことのない作家先生の欄を物色する。そして、とりあえず手に取ったのが井伏鱒二の「黒い雨」(今から読むので、感想は書けまへん)。
買って帰ってきて、パラっと開いたらさすが古本。なにやら一枚の紙切れが落ちてきた。どれどれと四つ折になった紙片を広げてみると、2002.10.28付けの「平和学1」の中間課題(レポート)と記載されている。以下抜粋
下の文献の中から2点を選んで読み、レポートを提出すること。それぞれの文献の中で描かれている「戦争の原因」ないし「戦争を助長するもの」を指摘し、さらに、それを克服する手がかりはどういうところにあるとあなたは考えるかを、述べなさい。
という課題の中に、「黒い雨」があった。他の参考文献として、壺井栄の「二十四の瞳」やレマルクの「西部戦線異状なし」が挙がっていた。きっと大学生がレポートのためにこの文庫本を買ったんだろうと推測される。先にも書いたように僕は全く突然趣味で読書を始めたので、こういったものを見てしまうといささかショックだ。楽しく読もうぜ。ひとり妄想や感慨に耽り、血肉として知としてフィードバックせよ。と本の神様がラフロイグで朦朧とした僕の頭の中で言っておられるよ。
今年はこの格安名著巡りを続けようと考えているけれど、これが続くかどうかは「黒い雨」の面白さにかかっている。・・・わけではなくて、名著を理解する頭と心を僕が持っているかどうかにかかっているわけですわ。
さてさてどうなることやら。では、オヤスミナサイ。

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