2005/11/2

ロシアからの贈り物 その1  日記(今日思うこと)

昨日は、急な仕事の依頼で、ほぼ徹夜をしてしまった。一日が長かった。そろそろ徹夜が厳しい年になったのかと、つくづく疲れを感じてしまう。そんな中、今日、2つの小包みが届いた。1つは、会社の国際会議とかやらで、ウィーンに飛んでいた妹から、もう1つは、幼少時代の先輩からであった。妹からのお土産は、さて置き(いつも、さて置かれる妹に陳謝。)先輩からの小包みを開けると「パレフ(Palekh)」という漆塗りの小物入れが入っていた。パレフとは、黒地に細密画が描かれている木の装飾品や小箱の事を言う。教会のイコン(聖人画)を描く技術から生まれた物だと言われ、絵のモチーフは民話等からも採られている。その柄はリスの毛で作られた極細の筆と、ルーペを使って描かれる。思い起こせば、先輩のご主人が貿易会社のお仕事で、ロシアに行かれる事があると、以前依頼していた品だった。見た途端、私の眠気も疲れも、一気に飛んでしまった。(自分でも、その単細胞ぶりに呆れる程だ)
クリックすると元のサイズで表示します 届いたパレフの箱 漆塗りの光沢が美しい

私は一目見て、惹きつけられてしまった。上品な色合いで、何より描かれている聖人の顔が気に入った。日本では、まだ、馴染みがないが、アーティストによっては、非常に高価で、ヨーロッパでは、小さな小さなその小箱に、目の飛び出るような価格がつけられていることもあるらしい。私が、そのパレフの箱と出会ったのは、今から6年前に開催された「永遠のきらめきバカラ展」の会場であった。バカラ展は、「日本に於けるフランス年」の記念事業の一環として催された。エアーによるパッキング技術が進んだ事から、フランスのバカラ村にある美術館から門外不出だった名品「サイモンベース」も来日し、ロシア最後の皇帝「ニコライ二世の燭台」更には、日本からの出品では、明治時代の貿易商、春海藤次郎が注文した茶道具等、300点が展示されていた。それはバカラ社234年(当時)の歴史の中で、世界初の規模の展示であった。会場は、横浜、大阪、広島、東京と、何故か、名古屋は飛ばされてしまったので、大阪の天保山にある、サントリーミュージアムまで、有志の方を誘って出かけたものだった。

その会場に、パレフの箱は、ニコライ二世の燭台、豪賓なテーブルウェアと共に、参考展示してあったのである。当時、どのような過程でその箱が作成されるのかは、全く、判らなかったが、その絵の細かさと言い、艶と言い、バカラの品の中に混ざっていても負ける事無く際立っていた。イアホーンの解説には、その箱の事は触れられて居らず、ただパレフの箱と立て札が立っていただけであった。ロシアの塗り物と言えば、1890年代、開国後に、日本の箱根細工の入れ子人形がロシアに渡り、ロシア大富豪の発案で作られたと言われている、「マトリョーシカ」が余りにも有名で、恥ずかしい事に私は、その瞬間まで、パレフの存在を知らなかった。自分なりに書物等で、調べた結果、その「マトリョーシカ」より絵画としての歴史は古く、(マトリョーシカは100余年)14〜15世紀にまで遡る。ロシアにはパレフ村という地が有り、その場所でイコン画が書かれていたと伝えられていた。
クリックすると元のサイズで表示します ロシア土産で有名な「マトリョーシカ」 その意味は、ロシア語で「マトリョーナちゃん」一つ一つに幸せが詰まっているとされる。開国後、日本政府は箱根の塔ノ沢に避暑館を建てた。そこに宿泊したロシアの人達が、土産物として入れ子細工を母国へ持ち帰った。その箱根入れ子細工の七福神は、今もザゴルスクの玩具博物館に展示されている。
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2005/11/2

ロシアからの贈り物 その2  日記(今日思うこと)

パレフ村で描かれるイコン画は、18世紀には最盛期を迎えるが、一旦衰退してしまう。そのイコン画家たちの子孫は一時中断されていたパレフ画工房を復活させるため、グループを作り団結し、この細密画(ミニアチュール)をあしらった民芸品の種類を増やし、ロシア民芸品の一つとして誕生させた。その作品にはイコン画の技法と、文学や日常生活や民話からの題材が、見事に調和している。複雑で手間をかけた細工品に黒い漆を塗り、内側に赤い漆を塗り、細かな絵や模様のパレフ画を施し、入念に仕上げられる。更に絵の一部に効果的に埋め込まれたマザーパールは、特有の輝きを放ち、独特の作風を表している。また特に細い鮮明な金色の線は、純金箔から作れる色で丁寧に色をのせた後、狼の牙で一本一本磨かれていくのである。           <P2>社 「ロシア案内シリーズ」より引用。
クリックすると元のサイズで表示します細密に施されたパレフ画は、目を惹きつけて離さない

私は、以来、いつかその「パレフの箱」を手にしてみたいと、思っていた。しかしロシアという国に行く機会もなく、また、国内では見つけることが困難であった。2年程前、東京に出た時、その先輩の家に一泊した。先輩の家には私が何年か越しで欲しかったパレフの絵画が飾ってあった。そうだった、ご主人はお仕事でロシアに行かれる事が多かったのだ。私は、即、財布のお金をはたき、もしロシアに行かれる事があられたら「パレフの箱」を買って来て頂けるよう、お願いしてしまった。先輩のご主人は、「一寸、偉くなったので出張の機会が減ったからね」と仰いながらも、引き受けて下さった。その時お願いした品が、ようやく出張の機会に恵まれたそうで、覚えていて下さり私の手元に届いたのであった。

小包みの中には、カードが添えられていた。そのカードには「帰りの飛行機が、乱気流で揺れた時は、自分の命より、パレフの箱を無事に届けられるだろうか?と心配しました。世界に1つしか無い手造りの箱です。大事にして下さい」と書かれてあった。まだ行った事も無いロシアのパレフ村、そして、その村でパレフアーティスト達が、精魂込めて描いている姿が、目に浮かぶようだった。それに何よりその箱の中には、先輩のご主人の暖かいお気持ちが、詰まっている気がした。本物のパレフアーティストは、パレフ村に300人程居ると言われる。パレフ美術学校という専門の学校も有るそうだが、そのレベルはとても高く、ロシア全土から募った入学生の中から、作家として認められて卒業するのは、1年にたった5人程だと言う。また、「フォトコピー」と言って絵を描いた物ではなく、貼り付けた物がお土産としては多く、勿論、これは本物のパレフ塗りではない。「フォトコピー」は、値段が非常に安い上に、絵が繊細ではないので本物とはすぐ区別がつく。モスクワなどの観光地で、おみやげ物として売られている品には、フォトコピー物が多いとの事だった。
クリックすると元のサイズで表示します フォトコピーのパレフケース(お土産用)
因みに、バカラ展で見た、ニコライ二世の大燭台は、それはそれは素晴らしい物であった。妹とも大阪で合流した私は、燭台の下で、2人で飛び跳ねてみたらクリスタルが1つ位落ちないかな、と考えてみたが、その心中を読まれた如く警備員に睨まれてしまい、仕方が無いので大人しく観入っていた。ロシア皇帝から注文を受けた、これらの燭台の輸送は隊商(キャラバン)を組んで行われた。ラバの背中に大量に積み込まれ、フランス、バカラ村の工場を出発してから、ヨーロッパ大陸を何週間もかけて横断し、ようやく目的地サンクト・ペテルブルグに到着する位長い旅だった。しかし、10基を納めた所で、で第1次世界大戦(1914年から1918年)が勃発し、更にロシア革命(1917年10月)が 起き、残の2基は、ロシア側に引き渡すことが出来ないままバカラ村に残された。戦火を逃れたその2基だけが、飾られる事のなかったニコライ二世の燭台として、後世に残されている事も皮肉であり、戦争は人の命も芸術も、何もかもを奪い去ってしまうという事を、私達に改めて提言しているかのように感じた。
クリックすると元のサイズで表示します 2002年11月〜2003年1月、東京、恵比寿にも展示された大燭台
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2005/11/2

タイタンズを忘れない。  好きな映画と本(一部ネタバレあり)

私の好きな映画です。ネタバレしています。

※タイタンズを忘れない (2000/米)

まだ人種差別が、色濃く残る、1970年代のアメリカ。
ヴァージニア州アレキサンドリアの町では、
人種融和政策によって、
白人の高校と黒人の高校が統合され、
白人・黒人混成の、フットボールチーム「タイタンズ」が誕生した。
ヘッドコーチに就任した、黒人コーチ(デンゼル・ワシントン)は、
白人選手と黒人選手が、いがみあうチームをまとめ、
偏見や嫌がらせと闘いながら、彼らを「最強のチーム」へと導いて行く。
実話の映画化であり、登場人物も実在の人物。
試写会で、当時の大統領クリントンが、
彼らに、お礼を言い、一人一人を、抱き締めたという、エピソード付き。
 封切時、アメリカ、カナダの高校生が、学校から観に行ったそうである。

★白人コーチ、ヨーストの静かだが、熱い思いと、
ジュリアスとゲリーの厚い友情、黒人コーチ、ブーンの信念。
これらの、熱い男達の心情に、胸を打たれた。
真剣で、真摯な気持ちは、全ての偏見を、変えていく。
CGとか、駆使する映画の多い中、
心の扉を叩く、映画らしい映画?だと、思った。
その素晴らしさに、感動した。
(上映中、社員全員で、映画館へ、観に行きました)

アメリカンフットボールという、最もアメリカで人気のあるスポーツ
をする肌の色の違う高校生とコーチたち。試合での勝利という共通の
目標でかろうじて繋がれた際どい組み合わせ。試行錯誤を経て、
お互いの理解へと進んでいく。最後の入院ベットでの高校生の台詞は、
感動的。。
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