2006/6/5

W杯まで後4日…ブラジル・強さの秘密(アドリアーノ)  サッカー&ワールドカップ・ドイツ大会

サッカーワールドカップ、ドイツ大会…。その優勝候補として最も注目されているのが、ブラジルチームのセレソン(ブラジル代表の愛称)達である。そのメンバーの中で、先に足技の宝庫…「ロナウジーニョ」について書いた。しかしながら、ブラジルの強さは、1人の選手の突出した技術だけでなく、FWの選手だけでも、秀でた選手が既に5人揃って居り、監督も誰を先発として選ぶか?嬉しい悲鳴をあげているようだ。その布陣の発表は、13日の対クロアチア戦まで封印されたままでいる。そんな中、「全国民が代表監督」と言われる程に、老若男女がサッカー通のブラジル…。サンパウロ市内で「自分なら誰を出場させるか?」とNHKの番組がアンケートを取った所、何と前回のW杯、得点王の怪物・ロナウドでさえ、控えにまわすという人が多かったという。
クリックすると元のサイズで表示します 「オルデン・エ・プログレソ」・多民族の秩序と進歩を表す国旗。

それは、昨年、W杯の前哨戦として開催されたコンフェデレーションカップで、ロナウドを欠いたまま、優勝した実績にも裏付けされている。そのコンフェデ杯で大活躍し、ブラジルを優勝に導いたFWの4人を地元では「カルテット・マジコ」(4人の魔術師)と呼んで讃えた。ブラジルでは、過去、W杯スペイン大会で活躍した、ジーコ、ソクラテス、ファルカン、トニーニョ・セレーゾを黄金の4人と呼んだそうだが、その4人を上回る技術と評されている。その「カルテット・マジコ」の4人とは、まず、ロナウジーニョ、そして前回大会では補欠で参加し1試合に出場した貴公子、カカー。チーム最年少でドリブルの名手、ロビーニョ、重戦車と呼ばれる体格を誇る、アドリアーノである。先日、NHK、BSで放送された特集番組を観ながら、その「カルテット・マジコ」の選手達の事を書いてみようと思った。(ロナウジーニョについては先に書いた為あえて割愛する)。
クリックすると元のサイズで表示します ボールで遊ぶアドリアーノ(左)と
ロナウジーニョ(右)。


さて、コンフェデ杯で、ロナウドに代わって得点王となり、最優秀選手賞に選ばれたのが、アドリアーノ・レイテ・リベイロこと、アドリアーノであった。アドリアーノは、リオレジャネイロでも極貧の街、ファベーラで生まれ育った。ファベーラは、貧困ゆえ麻薬に手を出し、ギャングの手下となって売人となる若者が後を絶たない街である。アドリアーノの父、アウミールさんは、そんな子供達が犯罪に手を染めない為には、夢中になるスポーツが必要だ…と、地元の人達と協力して、サッカーグランドになる空き地を整備した。更に自らコーチとして子供達にサッカーを教え、試合では審判を務めたりしていた。そんな環境下でアドリアーノは、既に2才からボールで遊び始め、効き足の左でボールを蹴っている写真が残されていた。アウミールさんはそのグランドを、「ファベーラから、ブラジルサッカーを背負って立つ選手が育つように…」と願いを込めて、ブラジル国旗にも記されている言葉から取って『ordem e progresso 』(秩序と進歩の意)と名付けていた。

そんなアミウールさんの努力の甲斐があって、アドリアーノは、7才の時、プロのサッカーチーム、かつてジーコも所属していたというフラメンゴの傘下である、サッカースクールに入る事が出来た。アドリアーノは、ここで初めて、裸足ではなく靴を履いてプレーする事となった。しかし、その3年後、アドリアーノが10才の時、アウミールさんに悲劇が襲った。街で起きた警察とギャングの抗争の銃撃戦に巻き込まれ、被弾し一命は取り留めるものの、一家の大黒柱としては2度と働く事が出来なくなったしまったのだ。アドリアーノの母、ロシウラさんは、家事を祖母のバンダーさんに任せ、清掃業として働きに出る傍ら、屋台でお菓子等を売って生計を立て、アドリアーノがサッカーを続けられる為に労苦をいとわず働き続けた。家族の誰もが口に出来なくても、アドリアーノには、お肉を食べさせていたという。 

重戦車の異名をとるアドリアーノ(青) クリックすると元のサイズで表示します

アドリアーノは、家族と街の人々の期待を担い、フラメンゴチームで活躍し続けた。初めは、体格を買われてDFを務めていたが、15才の頃から左足のキック力を認められFWに転向後は得点に絡む大活躍をし、19才でスカウトの目に留まって、セリエAのFCインテルへ入団した。その後ACパルマに移籍し、アドリアン・ムトゥ、中田英寿選手らと共に前線を形成し、得点を量産した。現在はFCインテルでプレーしているが、レアル・マドリッドがスカウトの手を伸ばしているらしい。アドリアーノは、189cmの身長を生かした高さのあるヘディングと、まるでラグビー選手のような突進力を武器にし、スピード、パワー、全てを兼ね備えた世界初の全能のFWとしてW杯のピッチに立つ。ファベーラ地区初のブラジル代表選手…アドリアーノは、亡き父の夢を乗せて、ドイツの皇帝、ベッケンバウアー氏が大会委員長を務めるその地で、ブラジルでの通称…「インペラトーレ=皇帝」の名を、ヨーロッパの人々にも、いや世界中に認めさせる瞬間が、きっとまもなく訪れると信じている。

(ロビーニョとカカーについては、明日書く予定です)

◎参考
NHK BS 特集 『ブラジル 攻撃サッカーで2連覇を目指す』より

◎当ブログ内「フットボールジャグラー、ロナウジーニョ」の記事
http://diary.jp.aol.com/hotarudesu/332.html</a>

◎こひ〜さんのブログ…ブラジル優勝を占う「3964の法則」について。

http://blog.livedoor.jp/kohhy_pajero/archives/50681675.html
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