2006/6/27

W杯、イングランド対エクアドルを観戦して…DF・ジョン・テリー  サッカー&ワールドカップ・ドイツ大会

イングランド代表、DF・ジョン・テリー。私が彼の名前を脳裏に刻みつけたのは、6月15日の一次リーグ、イングランド対トリニダード・トバコ戦だった。イングランドのGKロビンソンが、ボールをキャッチしようと前に出たがスルーされて、トリニダード・トバコの決定的得点のチャンスになった。トリニダード・トバコのFW・スターン・ジョンが、ゴールへ押し込もうとした所へ、素早く走り込み、オーバーヘッドキックでクリアした選手…。それがテリー選手だった。ディフェンダーとしての位置取りの良さが素晴らしいのか、その後もテリーの好セーブが目立った試合だった。
クリックすると元のサイズで表示します 危機一髪を救ったテリーの右足。

決勝トーナメントへ勝ち進んだイングランドは、現地時間の26日、強豪エクアドルと対戦した。両者相譲らない攻防が続き、勝って8強入りをしたのは、後半15分、ベッカムの鮮やかなフリーキックで1点を獲得した、イングランドだった。ベッカムは、試合中に嘔吐したほど体調が良くなかったが、この巧みなフリーキックをゴールポストの中に決める事によって、いぷし銀のようなキックの精巧さと、キャプテンとしての意地を見せた。しかし、FIFAがMOM(マン・オブザ・マッチ)に選んだのは、殊勲打を放ったベッカムではなく、献身的に自陣のゴール前でクリアし続けた、ジョン・テリーだった。

前記した、トリニダード・トバコ戦から、すっかりテリーのファンになった私は、この試合もテリー選手の動きに注目していた。前半11分、芝で滑ってしまったようなクリアミスで大ピンチを招いて冷や汗を掻いたが、その後は、好守備が光り、イングランドを完封勝利へと導いた。サッカーの試合を観ていると、華やかな得点シーンに目を奪われがちだ。そしてキーパーの好守は目立つものだが、ディフェンス陣の身を挺したセーブは、地味になってしまい、なかなか評価され難い気がしていた。そんな中、テリーのMOM受賞は、とても嬉しいニュースだった。
キャプテンを託し交代するベッカム。クリックすると元のサイズで表示します

ジョン・テリーは、1980年12月7日、イギリスのロンドンに生まれた。チェルシーチームの訓練生として育ち、1998年、17才の若さでトップ選手としてデビューを果たした。その後2年間は、修行の時代が続いたが、2000年から2001年に出場機会を増やすと、以降はチェルシーの主力として定着。チェルシーの知将、モウリーニョ監督の絶大なる信頼を得て、現在はプレミア・シップ2連勝軍団のキャプテンを務めている。このテリー選手…。一見若き英国紳士に見えるのだが、その経歴を辿ると、なかなかやんちゃな時期もあって面白い。彼にとってのそのターニングポイントとなった事件は、2002年、前回W杯が開催された年に遡る。2001年9月に泥酔した痴態を写真誌に撮影されて、それが報道され、更に年が明けた1月には、同僚でイングランド代表のランパードとナイトクラブで店員に暴行を働いたとして、何と警察に逮捕されてしまった。

結果、無実として釈放されたものの、W杯に向けてモチベーションを高めていく大事な時期に、刑務所送りになるのを覚悟して、歯磨きセットやラジオまで用意する羽目になったという屈辱を受けた。しかし、この逆境を機に、テリーは、ライフスタイルをすっかり変え一切の酒を断ち、練習の虫と化して、チェルシーの年間最優秀選手に選ばれるほどに成長した。今や、その人望の厚さはイングランドの選手の中でも群を抜いており、次期代表キャプテンと嘱望されているという。サッカーに於けるDF陣は、スピードのある相手チームのストライカー達とダイレクトに対さければならない。そんなポジションでテリーは、対人プレーと空中戦に絶対的強さを見せている。今大会「イングランドが優勝候補だ」という声も、彼の活躍があるからこそ…の気がした。
クリックすると元のサイズで表示しますエクアドル戦前のイングランド代表。
写真は、全てクリックで拡大します。


奇しくも、このブログを書いている今、F組2位通過のオーストラリア対イタリア戦が行われている。たられば…ではあるが、もし日本が勝ち進んでいれば、この試合に出場していたはすである。前半戦、攻め入るイタリア選手を防ぎ続けたオーストラリアのDFの選手達の好プレーぶりが随所に光る。どんなFWにも屈しないフィジカルの強さを誇るDF陣の育成…日本はシュートの打てるFWの選手を育てる事は勿論だが、イングランドやオーストラリアのDF陣の強さも見習って欲しいと思った。尚、MOMに推奨したFIFAのテクニカル・スタディ・グループは、テリーのプレーを「殆どミスがなく、守備面では完璧な試合だった。チームメートのミスを助け、エクアドルの好機を止めていた」と評価した。

◎参考
日刊スポーツ(インターネット版)、ワールドサッカーキングVol 032(朝日新聞社)


★追記
オーストラリア対イタリアは、0対0の攻防の末、後半ロスタイムに得たPKを、途中出場のトッティが見事に決めて勝利した。前大会の決勝Tで、トッティはヒディング率いる韓国との試合でシュミレーションの反則を取られ退場、チームは目の前で延長戦の末敗れるという屈辱を味わった。このPKによってトッティは、対ヒディング監督にリベンジを果たした形となった。それにしても、破れはしたが、オーストラリアを就任僅か1年で、素晴らしいチームに育てたヒディング監督…。その功績を讃えたい。ヒディング監督は、来季からロシアの監督就任が決まっているそうだ。
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