2007/2/27

博物館「酢の里」を見学して…ミツカン創業の酢…『山吹』  日記(今日思うこと)

土手には土筆が顔を出していた。寒い週末が明けて暖かさが戻った26日、私は「はんだ蔵のまち 雛祭り」が開催されている半田市内の半田運河沿いにある『清酒・国盛』の「中埜酒造」と、酢の生産高全国一を誇る「ミツカン酢」周辺を散策した。そして、その散策の第一目的は、酒粕から造られる「ミツカン酢」創業の契機となった『三ッ判 山吹』を購入する事だった。私は半田に住んでまもなく「半田の繁栄を担った商品だから」と、この酢をお客様から頂いた。初めて目にした時、その色から一瞬「黒酢?」と思ってしまったが、実は酒粕から熟成された希少価値のある酢だと知った。その時「酢」の造り方にも非常に興味を持ち、「ミツカン酢」が経営する私設博物館『酢の里』を訪れる事となった。そして今回は、それ以来2度目の訪問であった。
クリックすると元のサイズで表示します 酒粕から造られる『三ッ判 山吹』

酢の歴史を辿ると、世界的には紀元前5000年に、古代メソポタミア南部のバビロニアで、ナツメや干しブドウを原料とした『酢』が記録として残されており、世界最古の調味料とも言われている。その名前も、フランスで「ビネーグル」(VINAIGLE)は、「ぶどう酒」(VIN)と「すっぱい」(AIGRE)を語源として、ワインを貯蔵して置いたら発酵して『酢』となった事に由来する。また、漢字の『酢』も「酉…酒を入れる器や酒」+「乍…重ねる」の意で「酒が日数を重ねて出来た物」を表しているという。その『酢』の製法が中国から日本へと渡って来たのは、5世紀頃の平安時代とされており、貴族達が生魚や干し魚を酢や塩につけて食べたと記録されている。更に鎌倉時代になって、調味料として料理の味付けに使われるようになり、やがて江戸時代、東京湾で獲れた生魚を酢や塩で締めて腐敗を防ぎ、酢を混ぜた飯に乗せるという「江戸前寿司」と呼ばれた握り寿司が、一世を風靡して定着し、現代に至っていると言われる。(以下の写真はクリックで拡大)
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当時の寿司の模型↑と説明→ 
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この江戸時代の末期、1804(文化元)年、造り酒屋の息子だった中野(四代目より中埜と改名)又左衛門は「酒を作った後に残る大量の酒粕を生かす道はないか?」と考え『粕酢』を考案した。この酒粕のリサイクルから生まれた『粕酢』は、独特の芳ばしい風味と、なめらかな舌触りで、当時流行っていた「江戸前の寿司」によくマッチしたそうだ。飴色の『粕酢』を混ぜた酢飯は、褐色を帯び、その色から『山吹』の名前がつけられたという。又左衛門の作る『山吹』は、尾張国知多郡半田村の港から船によって江戸に運ばれた。『山吹』が人気を博した背景には、この海運の便に恵まれた半田の立地条件も大きく寄与していたと言えよう。当時から現代まで使用されているミツカンの工場一帯は『酢』の香りを漂わせ、この蔵達が歴史的遺産として…ではなく、現在も生きて呼吸している証のように思える。
クリックすると元のサイズで表示します半田運河沿いに建つミツカンの建物
※電線が運河の下に埋めらている為クリックすると元のサイズで表示します
『姿三四郎』等、時代劇の撮影にも使用された。


そもそも『酢』とは、お酒から出来る産物であり、原料も酒と同じの「穀物」と「果実」に分類される。また、農林水産省による品質表示基準によると『食酢』は、「醸造酢」と「合成酢」に2分され、その中の「醸造酢」は、穀類、果実、アルコール、砂糖を酢酸発酵させた液体調味料であると表示されている。穀物酢は、主にその原料から「米酢」「米黒酢」「大豆黒酢に分けられ、果実酢としては「りんご酢」「ぶどう酢」などが挙げられる。ミツカンでは「ミツカン酢」と呼ばれる「穀物酢」が大量生産され、「酢」の代名詞として日本のみならず、世界各地に輸出されているが、本社のみで、創業時の酢…『山吹』を生産している。近年になってネットでの直販も出来るようになったが、以前は本社と半田市内限定のお店でしか手に入れられなかった。このまろやかな酸味を特徴とした酒粕酢=米酢に分類される『山吹』は、その香りを味わう為にも、酢の物、酢飯、和え物、酢漬けなど、加熱しないで使用する調理に向いているとされ、「ミツカン酢」は、穀物酢のすっきりした酸味を生かして、酸味スープ、酢豚、さっぱり煮など、加熱する調理に使用するよう…推奨している。

日本で唯一の酢の総合博物館…「酢の里」では、古の昔を偲ばせる佇まいの中、酢造りの技と道具、方法を模型や図解で紹介しながら、倉人達が作り上げてきた酢造りの精神を学ぶ事が出来る。また、医学の父と呼ばれた古代ギリシャのピポクラテスも注目していたとされる酢の効能も、現代では、ミツカン中央研究所にて科学的に分析、紹介されており、健やかな暮らしぶりを追求している現代人にとっても、先人達が残した贈り物の価値が高いことを証明している。尚、外国の「酢」の種類として、アメリカの「ホワイトビネガー」、イギリスの「モルトビネガー」、イタリアの「バルサミコ酢」なども紹介されていた。また、この一帯には、中埜グループの「国盛り 酒の文化会館」もあり、東海地方の醸造酒の歴史も学ぶ事が出来る。

◎ミツカンお酢ショップより…『三ッ判 山吹』の出来るまで。
http://shop.mizkan.co.jp/special/howto/index.html 

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