2008/2/17

浅田真央、四大陸選手権優勝!(新採点法に苦しんだ今季)  フィギュアスケートと浅田真央選手

韓国、高揚で行われたフィギュアスケート4大陸選手権は、最終日を迎え女子シングルのフリー演技が行われた。結果、浅田真央が、プログラムの冒頭に組み込まれたトリプルアクセルを成功させ、193.25点で初優勝した。2年ぶりに4回転サルコーに挑んだ安藤美姫は、2回転で抜けてしまい、コンビネーションジャンプにもミスが出て3位と後退、2位には、カナダのジョアニー・ロシェットが入った。
クリックすると元のサイズで表示します暖色(ワイン色)のウエアで臨んだ。

4大陸選手権とは、ヨーロッパ選手権に対し、ヨーロッパ大陸以外の、即ち…アフリカ大陸、アジア大陸、アメリカ大陸、オーストラリア大陸の代表選手達が、世界選手権の前に集う大会で、1999年から始まったが、一昨年等は特に、オリンピックイヤーということで、各国内選手権の上位以外の選手らが出場していたりして、世界選手権に次ぐ国際大会という権威あるイメージには、程遠かった。しかし今季になって、浅田真央、安藤美姫、そして結果的には欠場となったが、グランプリファイナルの覇者、金ヨナらの参戦も報道され、一段とクローズアップされて来ており、(ヨーロッパ選手は不在だが)事実上、世界選手権の前哨戦とも言えよう。

浅田真央は、初めて四つの大陸に於けるチャンピオンになったのだが、トリプルアクセルを決めたものの、完璧な演技とは言えなかった。それは得点を見ると顕著に現れている。金ヨナが戻ってくる1ヶ月後の世界選手権(スウェーデン・イエテボリ)では、やはり200点を越えなければ、優勝するのが厳しいと思われる。ところで、浅田真央の得点が伸びない理由には、今季から取り入れられている新ルールにも一因がある。それは、ルッツジャンプとフリップジャンプの踏み切りのエッジが、中か外かを厳密に審査され、昨季までGEOで+が着く等…高得点を出していた、ルッツジャンプでインサイド踏み切りをして「不正なエッジ(wrong edge)」の減点が、されるようになったからである。
ジャンプの種類とその得点表→クリックすると元のサイズで表示します
◎試合では、この基礎点(点数)を素に、
その出来により各ジャッジの判定の平均値を加減し、+3から、−3点の7段階で評価される。
例えば3回転のルッツの場合、基礎点が6.0点に評価が最高なら、3点が足され9.0点となる。


そもそも、この新採点法は、似通った2つのジャンプ…ルッツ(アウトサイド踏み切り)、フリップ(インサイド踏み切り)を厳しく判断して、減点するようなったもので、例えばルッツの申請で、インサイドで踏み切ったから、単純にフリップを跳んだ事にすれば良いのでは?という訳には行かない。フィギュアスケートでは、プログラムの中にジャンプの回数が決められていて、例えば女子フリーでは、3回転以上のジャンプは2種類のみ繰り返し可能とされており、インサイドエッジで踏み切る癖のある選手が、3回転フリップを2度跳んだ後、3回転ルッツのつもりで跳んだジャンプがフリップとなった場合に、そのジャンプが無効とされてしまう(カヤックルール)からである。フィギュアスケートでは、審査員(ジャッジ)の他にテクニカル・スペシャリストがいて、踏み切りエッジが疑わしい場合、回転不足等と同様、ビデオモニターで再チェックし判定をしているという。

浅田真央は、ルッツジャンプを、インサイドエッジで踏み切る癖が着いているようで、このルール対策として、グランプリシリーズでは、ルッツジャンプの前にステップを入れる等、工夫をして来たが、反って意識し過ぎてしまい、ステップで躓いてジャンプ自体が跳べず、ショートプログラム規定の必須要素をこなせなかった、という苦い結果もあった。よって浅田真央は、身についてしまっている習慣(癖)を急に変更しようとして、ジャンプを失敗してしまうより、踏み切りの減点を覚悟の上で、質の高いジャンプを跳び、マイナスを低く抑えよう…という作戦に変更したと思われる。例えば3回転ルッツの場合、基礎点は6.0で、不正踏切で1点減点されても、5点は取れるからである。因みにジャンプの際のエッジのインとアウトの踏み切り方は、お箸を持ったりする利き腕とよく似ており、大人になってからの修正は、箸を持つ手を変えるくらい難しいらしい。

この新採点法、選手によってはジャンプのタイミングが速く、不正エッジを見つけ難かったり、ジャンプの準備動作で正しいエッジ方向に乗っていても、直前に逆エッジになる選手がいたりして、その判断も大変難しいという。採点競技では、過去にも物議を醸し出して来たが、ジャッジによって、得点の出方に微妙な違いが出る事は否めない。しかし、浅田真央は、この新採点法に悩みながら、ジャンプ以外の要素でも、レベルアップを図って来ている。今大会のフリーの演技中、私は素人だが「お見事!」と、思わず叫んでしまった「トリプルアクセル」の成功を観て、新採点法に苦しんで来た柵から、吹っ切れたような清々しさを感じた。世界選手権も優勝を期待して応援したいと思っている。
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2008/2/16

高橋大輔、世界最高得点で優勝「四大陸選手権」  フィギュアスケートと浅田真央選手

高橋大輔は進化を続ける…去る2006年2月23日、トリノオリンピックで、女子フィギュアスケートで、荒川静香が金メダルを獲った感動から約2年…。フィギュアスケート界は、明らかに進化して来ている。選手にとって毎年レベルアップした各大会に自分のベストコンデションで挑むのは、容易な事ではない。この2年間、成長しつつある多くの選手の中で、心身共に最もに成長したと言えるのが、高橋大輔であると思う。特に昨年の世界選手権に於いて、僅差で2位になった時からの成長が著しい。もう彼の事を「ガラスのハート」と呼ぶファンは、誰一人いないだろう。
クリックすると元のサイズで表示しますフリーでも圧倒的強さを見せた高橋

高橋は、年末の全日本選手権で『有言実行』となる四回転を2回成功させ、その好調さを保ったまま、今大会も、SP「白鳥の湖ヒップホップバージョン」の斬新なステップで、世界歴代2位の88.57点で首位に立ち、全日本選手権フリーの後半でバテテしまった事を体力をつけて克服、今大会のフリーでは、自己ベストを大きく更新した264.41点の世界歴代最高点を叩き出した。これまでの歴代最高点は、奇しくも2年前のトリノで、観客を魅了した演技で、2位以下を寄せ付けなかったロシアのエフゲニー・プルシェンコの出した258.33点だった。あの時、暫くの間この得点を超える選手は現れないだろう…とさえ思ったが、何とトリノでは重圧から8位に沈み、辛苦をなめた高橋大輔が、6点以上も上回る得点を出したのだ。(地上波でのTV生中継が無くて残念であるが)。

フィギュア界に新風…SPクリックすると元のサイズで表示します

3月にスウェーデンのイエテボリで開催される世界選手権では、今大会に参加した、アメリカ、カナダの選手に加え、昨年の覇者で、高速スピンが美しいステファン・ランビエール(スイス)や、4回転を得意とするブライアン・ジュベール(フランス)も参戦してくる。元よりランビエールを尊敬し憧れていた高橋大輔だが、高橋が体調を崩したりして、余程不調でなければ、世界選手権初優勝は、自ずと見えてくると思う。尚、今年、関西大学を卒業する高橋だが、世界選手権と重なる為、残念ながら、卒業式には出席出来ないという。4年間お世話になった大学の関係者の方達、学友達には「世界選手権の金メダルでお礼に代えたい」…と雑誌のインタビューで語っていた。高橋大輔は、この件もまた『有言実行』を果たしてくれると信じている。

因みに同誌には、以下の編集者からの質問と、高橋の答えも載っていた。

編集者:「もし、1日だけ別のスケーターに変身出来るとしたら、誰になりたいか?」

高橋:「浅田真央ちゃんかな。真央ちゃんは、どんな感じでジャンプを跳んでいるか体感してみたい。僕のジャンプはどっちかというと重たいけど、真央ちゃんのジャンプは軽い、というイメージがあるので…」。(2007年12月末『メダリストオンアイス』の後で…)
 

◎DAI-X出版「フィギュアスケートvol.5」より引用 ◎写真はYahoo photoより引用。

※以下は「You Tubu」より…全日本選手権「Daisuke TAKAHASHI 2007JPN Nats SP 」
http://jp.youtube.com/watch?v=4PqYJh49-cc&feature=related

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2008/2/6

レッドソックスの首脳陣達No1…岡島秀樹獲得の舞台裏  Boston Red Sox・MLB

2月3日に放送されたNHKスペシャル…『日本とアメリカ』の第三回「日本野球は“宝の山”〜大リーグ経営革命の秘密〜」は、レッドソックスファンの私にとって、大変興味深く観る事ができた。番組は、6年前、経営難に陥っていたレッドソックスを買収した筆頭オーナー…投資家でヘッジファンドの社長である、ジョン・W・ヘンリーさんにスポットを当てていた。ヘンリー氏は、イリノイ州の農家に生まれ、9才の時にメジャーリーグを観戦したのを契機に、大の野球好きとなった。当時から数字には強く、常に頭の中で、選手達の打率や防御率を換算していたという。大学はUCLA等4つの大学で哲学を学ぶも学位は取得せず、父親の死を転機に農場を継いだ。そして、独学で為替ヘッジ(ヘッジとはリスク回避の意)を学び、大豆の先物取引で、まず75000ドルの利益を得た事を始めに大成功を収めた。
クリックすると元のサイズで表示します ワールドシリーズ観戦の首脳陣。
左からJohn W. Henry, Tom Werner, Larry Lucchino(yahoo photoより)


ヘンリー氏は、1980年に独自のトレーディングシステムを作り上げ、1981年には、ジョン・W・ヘンリー・アンド・カンパニーを設立して、マネーマネジャーに就任、以降6つのトレーディングシステムを使用して、通貨から穀物まで多種に渡るトレードを行ってきた。結果、現在では約30億ドルの資産運用をしており、世界で最も優れたトレーダーの1人として、マイケルコベス著の「トレンドフォロー入門(トレンドの魔術師達の売買戦略と成功の秘密)」にもその名をはせている。ヘンリー氏は、投資家として培ったデータ分析を野球にも応用して、球団の運営を行い就任から6年間で、売り上げを2倍に伸ばすと共に、チームを常勝球団へと育て上げて来た。ヘンリー氏は、現在も自らスコア表をつける習慣を続けているという。
ファン投票で最優秀中継ぎ投手にクリックすると元のサイズで表示します
選出された岡島秀樹。(2007年7月撮影)


過去100年のデータを元に、安い品を買い高く売って利益を得て来たヘンリー氏は、投手の「指標」として「防御率」(自責点÷投球回×9)だけではなく、アナリスト(分析家)として採用した、野球愛好家のポロス・マックラゲン氏の論文から見つけた「指標」によって、巨人時代の岡島秀樹投手に注目し、日本ハムへ移籍後は特に岡島獲得へと強い意志を固めたという。ヘンリー氏が見つけた新たな「指標」とは「三振の数÷四球の数」だ。その「第二の指標」は、高い程能力のある投手と言えるそうだが、メジャー投手の平均が2.00に対し、岡島は巨人時代で2.95、日本ハム時代には、何と4.75まで上げ、他のプロ野球選手の中でも抜きん出ていた。2006年11月、レッドソックスが岡島を獲得したというニュースを耳にした時、私は左腕だから…くらいにしか捉えていなかったが、既にこの時、ヘンリー氏は、岡島の成功を裏付けるだけのデータを握っていた事になる。

また、ヘンリー氏は、球団経営を既にボルチモア・オリオールズとサンディエゴ・パドレスの経営を立て直した、ラリー・ルキーノ氏に任せた。ルキーノ氏は、狭くそして、歴史的価値から解体は不可能なフェンウェイパーク(球場)の改装に着手した。リキーノ氏は、まず初めにグリーンモンスターの上に270席の客席を造った。フェンウェイの名物とも言われるグリーンモンスターは、建設当初は、レフト側が狭く市街地が近い為に、ホームランが出難くする為にボールを遮る壁を作ったという、苦肉の策であったが、その上を観客席として活用した所、最もホームランボールが飛んで来易く、また見晴らしが良い為、大人気となった。定価約1万5千円のシートも時にネット場では、5万円から10万円以上出しても手に入らない事さえあるそうだ。
クリックすると元のサイズで表示します 記者席から見たレフトスタンド側

また、ファミリー向けに、選手達がバッティング練習している時、グランド後部で球拾いが出来る権利付のチケットを販売、定価約3万円はけっして安くないと思うが、ボールを拾えるだけでなく、選手達と同じグランドに立てるという感動も手伝ってか、人気の的となった。私がフェンウェイパークを訪れた時も、センターの後のブルペンの横に仕切られた区域があって、子供達がボール拾いをしていた。抽選か何かで選ばれた子供達かな?と思っていたが、そういう特権付シートがあったのだと、今更ではあるが納得した。他にも、フェンウェイツアーと題して、球場の記者席やダックアウト、グリーンモンスター内等を見学出来るガイド付のツアー(大人18ドル)をシーズンを通して行っていたり、公式ショップは年中無休で営業するなど、シーズンオフも売り上げを伸ばしている。その背景には、親会社の宣伝目的という日本プロ野球の指針と違い、独立した企業として収益を上げるという確固とした経営理念がある。
外野席増設等改装中のフェンウェイクリックすると元のサイズで表示します
(以上2007年11月フェンウェイツアーにて撮影)


ヨハン・サンタナのメッツへのトレードというニュースが届き、レッドソックスのストーブリーグには、大きな動向はなく、主力選手は揃ったままで、データ的には二連覇を狙えると言えよう。しかし、ヘンリー氏は、自身の言葉で語っている。

「I don’t believe that I am the only person who cannot predict future prices.」
(私は将来の価格を予測することはできない。それは誰にも出来ない)

レッドソックスの春季キャンプの日程が、2月22日からと決まり(投手陣は2月16日)いよいよ、選手達も始動する。首脳陣はキャンプ中にも新たな戦力発掘の為に視察をし、データを集積し続けるという。(選手名敬称略)。

◎参考 
・NHKスペシャル…『日本とアメリカ』「日本野球は“宝の山”〜大リーグ経営革命の秘密〜」
http://www.nhk.or.jp/special/onair/080203.html
・マイケル・コベル(Michael Covel)著
「トレンドフォロー入門(トレンドの魔術師達の売買戦略と成功の秘密)」
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