2006/10/11

人体のプラスティネーション標本(ボディ・ワールド)を観て…。  ボストンの思い出

ボストンのサイエンス・ミュージアムでボディ・ワールド2の展示がされていると、中国人の友達から聞いた私は観たくなり、まず、9月30日の土曜日、野球観戦の前に時間を作って地下鉄で出かけた。あの日は小雨が降っていて、フェンウェイ球場で投げる予定のウェイク・フィールドにとっては、変化球・ナックルボールの為にも、何としても雨は上がって欲しかった。サイエンス・ミュージアムに着いたのは、午後4時近くで、チケット売り場のお兄さんに聞いた所、昼の部の時間は、24ドル支払っても5時までで終了、残り時間が僅かしかなく、ナイター営業の方が16ドルで安い…との事。結局、この日は入場を諦め軽食を摂って野球場へ向う事にした。駅に着く頃に雨は上がっていた。今季のレッドソックスの試合も残す所後2試合となり、週末だという事もあって、チケット入手は無理だった。それでも並んでいる時に、可愛い少年とお兄ちゃんのご家族に会えて楽しい時間を過す事が出来た。
クリックすると元のサイズで表示します サイエンス・ミュージアムの外観。

ボディ・ワールドへは、入り口を観ただけで、ますます観たいという思いがこみ上げて来て、翌日の夕方に再び出かける事にした。プラスティネーション技術…その言葉は、3年前の2003年、看護学校の教師をしている友達が教えてくれた言葉で、日本でも(規模は小さかったらしいが)その展示会が開催されていた。プラスティネーションとは、ドイツの解剖学博士、フォン・ハーゲンス氏が、人間の体の全てを、体液をプラスチックに差し替えるという新しい技術で保存し、臓器、筋肉、神経、血管などを展示。更にプラスチック化させた人体を縦・横にスライスした状態で展示している。病変化した臓器もあって、有り難い事に医師である友人と出かけた私は、解説付きで非常に解りやすかった。私は父が軽い脳梗塞を患って、CTスキャンやMRI(磁器共鳴装置)の画像を見た事があるが、スライスされた脳を観て、更に解り易いと思った。
ボディ・ワールドへの入り口。 クリックすると元のサイズで表示します

このプラスティネーションによる標本を一般公開するについては、賛否両論あったようだが、本来は医療の場という特定の世界でしか知り得ない『人体解剖標本』を私達が目にする事によって、人間の体の構造や仕組みを知り得る事が出来る。私も話を聞いた当初は「気持ち悪い」と、出かけるのを躊躇ったが、実際観て見ると自分の体の事なので、大変興味深く観る事が出来た。繊細で巧妙に出来ている体の仕組み…私は、命の大切さ、神秘さを改めて教えられたようで、神聖な気持になれた。展示会場には、皮を剥がれて筋肉や骨が丸出しになった状態で、様々なスポーツをしているポーズが取られた標本もあったが、それは芸術感覚が強い感じがして、どの筋肉を主に使っているかは判り易いが、神聖な気持になった他の展示物とは、異次元の物のような気がした。

最も印象的だったのは、肺の標本で、健康な肺、喫煙者の肺、そして炭鉱夫の肺と比較されて並べられていた。まずタバコを1日20本20年間吸った人の肺は、健康な肺と比べると、組織の中に黒いタールが蓄積しており萎縮していた。更に炭鉱夫の肺(黒色肺、塵肺)は、真っ黒でまた小さかった。石炭の粉塵は、肺の細気管支を取り巻くように蓄積する為、呼吸に支障を来たすようになるという。そして何より怖いのは、治療方法が無いという事だった。現在、炭鉱は減少し、黒色肺は減ってきたようだが、反対にアスベストなどの化学物質による塵肺症が増えているらしい。治療不可能なので、何より予防する事が大切だと痛感した。そして、次に心に残ったのは、関節の仕組みだった。人工関節の技術が進み、代替が入れられた標本もあったが、どれだけ科学の技術が進んでも、限りなく人の関節(特に手指)に近づくのは、かなり困難だと思った。
クリックすると元のサイズで表示します 15分毎に区切って入場できる。

さて、私が特別、筋肉や関節に興味引かれたのは、左膝を手術しているせいもあるが、実は、観る直前にこのミュージアムの近くの交差点で、事故に遭ったせいもあった。横断歩道がある五差路で、歩行者用の信号は青だったが、私の前に渡る人が居なかった為、中央分離帯側の車は、信号無視して走って行ってしまった。すると手前、歩道側に停止していた車もつられて発進。渡ろうとした私は咄嗟に左手を車のボンネットに着き、跳び箱のような感じで、ボンネットに腰掛ける形となった。お陰でバンパーが当たった左足の部分も殆ど痛みを感じなかった。
この交差点で事故に遭ったクリックすると元のサイズで表示します
よく見ると州警察の前…歩道側(赤い車の位置)の車に当てられた。

車が動き出したのも、当事者の私にとっては、スロービデオで観ているような感覚だったが、驚いたのは、直ぐ後ろに居た友人と、運転していた男性、そして助手席のその人の奥さんだった。奥さんは、ご主人に向って怒鳴っていた。私は青の歩行者用信号を指差し、へらへらとしていたが、一部始終を見た友人は、肝を冷やし「寿命が縮む思いだった」と言っていた。友人は日本の医師なので、すぐ診立ててくれたが、異常は無かった。私は運が良かった。しかしこの事を機に、自ら充分気をつけようと心に誓った。ボディ・ワールドを観ながら、あの時、手や足の関節が壊れなくて良かったとしみじみ思った。
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