2007/3/23

世界フィギュア…男子シングル・フリー4分30秒に思うこと  フィギュアスケートと浅田真央選手

男子シングルフリーの演技時間4分30秒…。この時間の感覚を長く感じるのか?あっという間に感じるのか?今日の演技を観ていて、私はその差の違いをしみじみを感じていた。まず驚いたのが、チェコのトマス・ベルナーだった。冒頭で4回転×3回転を決めると、予定には入れていなかった4回転ジャンプをもう一度決め、最終グループの滑走の前に、今季一番成長した選手との呼び声は本物だとあっという間に証明した。ヨーロッパ選手権2位の実力を見せ付け、バンクーバーオリンピックの頃には高橋大輔らの強敵になる?存在だとアピールした。
クリックすると元のサイズで表示します男子シングル、初の銀メダルで、
爽やかな笑顔の高橋。


しかしその後、4分30秒の間、一瞬たりとも心を捕えて離さなかったのは、高橋大輔の演技だった。4回転ジャンプは着地で手を突いてしまったが、後はスピード感溢れる演技で「オペラ座の怪人」の世界に観客達を引き込んで行った。気がつけば、フリーの得点163・44は、全ての選手の頂点だった。高橋が演技を終える仕草…仮面を脱ぎ捨てるまでのその時間は、瞬く間に過ぎて、もっと観ていたい…そんな気持ちにさせられた。今月16日に21才になったばかりの高橋は、演技前は泣きたい位緊張したという。自国開催という大きなプレッシャーを跳ね除けた堂々の銀メダルには感動した。これでもう誰にも『ガラスのエース』とは呼ばせないだろう…。

また、同じ時間と空間をまるで、豪華なショーを観るように観客を魅了したのが、ステファン・ランビエールだった。この世界選手権で、初披露となった…プロのフラメンコダンサーに振り付けを依頼したという華麗なプログラム。逆転を賭けた4×3×2回転ジャンプは、4×2×2回転になってしまったが、世界一速い回転のスピンを織り交ぜたプログラムは、芸術の域に達している気がして、デイフェンデングチャンピオンとして誇れる演技力で、素晴らしい4分30秒の贈り物だと思った。

その高橋らとは反対に、時間も長く、苦しそうに感じたのは、SP2位のジェフリー・バトルだった。ジャンプでの2度の転倒があり、会場からは悲鳴も聞こえていた。怪我の後遺症があるのだろうか?メダルを意識したゆえのプレッシャーからなのか?高橋の歓声の余韻が影響したのか?スケーティングの流れに勢いが消えていた。しかしながら、まだ公式試合では、一度もクリーンに着氷していないという4回転ジャンプに、果敢にも挑んだ勇気には拍手を送りたいと思った。この攻撃的な演技構成を組んだバトルの目線の先は、自国開催のバンクーバーオリンピックを見据えていると感じた。

また、こだわり続けて来た4回転(クワット)ジャンプをコンビネーションジャンプに取り入れてSPでトップに立ったブライアン・ジュベールは、フリーでもミス無く滑走して、悲願の金メダルを獲ったのだが、「2度跳ぶ」と宣言していたクワットジャンプは一度に封印し、スピン、ステップを確実に決める作戦に出た。フランスとしては、42年ぶりという重い金メダルを獲る為の作戦として、大成功したとは思ったが、魅せる演技という意味では、もう少し攻撃的に演技して欲しかった気がして、少し物足りなさを感じ、時間を長く感じてしまった。
跳び過ぎでも?7位入賞の織田。 クリックすると元のサイズで表示します
(写真は共同通信より)


以上、素人の私がフリーの演技時間を、どう感じたかを書いて来たが、実はもう少し演技時間が短かったら…と、ついつい思ってしまったのが、織田信成の演技内容だった。新しいプログラム、ミッションインポシブルのリズムに乗り、昨日のSPのジャンプ失敗が嘘のように、次々とジャンプを決めて行ったのだが、途中で「あれ?また跳び過ぎ?」と気がついた。一瞬、「まさか?」…と私は自分の目を疑った。織田はこの『ザヤックルール』に過去2度泣いていたからである。昨季の全日本選手権で無効ジャンプをカウントされ一旦金メダルを受け取った後、返上するという悔しい想いをしており、世界選手権でも同じ失敗をして表彰台を逃していたが、現実は、やはり連続ジャンプを4回も跳んでしまっていた。

このルールは、フリーのプログラムの中で、
1、同じ種類の3or4回転ジャンプは、2種類2回まで。
2、コンビネーションやシークエンスは、3つまで。

…という決まりがあり、その規定数を超えると、ノーカウントにされてしまうというルールなのだ。トリノオリンピックで高橋も、3回転ルッツを飛び過ぎてしまい、もし2回転にしていれば8位ではなく7位だったという。今回の織田も6位のバトルとは5点差…もしかしたら、連続ではなく単体のジャンプにして置けば…と悔いが残った。しかし、SP14位から7位まで挽回し、高橋と2人の活躍で来年の世界選手権枠を3人に増やした事は大いに賛辞すべきだと思った。リンク脇で高橋の銀メダルに笑顔で拍手を贈っていた織田…。努力家であり、憎めない性格でファンから愛されていると思うが、次は君も表彰台で拍手される側になって欲しい。その実力は間違いなくあるのだから…。氷上でくり広げられた4分30秒のドラマに、そんなことを思った。(敬称略)
0



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ