2007/3/29

安藤、浅田らを生んだフィギュア王国…名古屋(愛知県)に思う  フィギュアスケートと浅田真央選手

名古屋がフィギュア王国と呼ばれるようになったのは、やはりフィギュア史上初のオリンピックメダリストとなった伊藤みどりの存在が大きいだろう。そして今年開催された世界選手権では女子シングルに出場した選手が、3人とも名古屋(中野は愛知県江南市)生まれの名古屋育ちだった。名古屋に於いてのフィギュアの歴史は、旧満州(中国東北部)で、王者になった小塚光彦(現・92才)らが戦後間もない頃、愛知県スケート連盟を創立して、息子の嗣彦小塚崇彦の父)を1968年開催のグルノーブルオリンピック代表選手に育て上げ、選手が途絶える事無く競技を続けられる土壌作りに尽力した。
クリックすると元のサイズで表示します 旧満州のリンクで…小塚光彦。(戦前)

そんな頃、1人の女性が現役スケーターを引退して名古屋初のプロ指導者になった。山田満知子コーチ…。伊藤みどりがその指導を受けた事で有名である。伊藤は周知の通り、1989年の世界選手権で日本人で初めて優勝し、1992年のアルベールビル・オリンピックでは、トリプルアクセルで転倒するも再挑戦して成功させ、銀メダルを獲得した。その後も山田コーチの指導の下、小岩井久美子、恩田美栄ら有力選手が生まれ、世界フィギュア界に『名古屋のスケーター』を発信し続けた。他にも2007年3月現在、現役で活躍している選手では、中野友加里、浅田舞、浅田真央らがいる。
2005年GPファイナル優勝時の浅田真央と山田。クリックすると元のサイズで表示します

フィギュアスケートは、誰でもが気軽に始められるスポーツではないが、山田の門下生は、よく先輩スケーターが使用した衣装を着て競技に出たりする。早朝、深夜の貸切時間だけでなく、昼間のリンク営業時間にも一般客に混ざってリンクに降りる。山田は、高額なお金がかかると思われているフィギュアの敷居を低くしたかったという。「似合う衣装は、また着ればいい。何度も使えるフリーパス券を買えば、どれだけ滑ってもいい」。そう語る山田は、浅田真央に試合の時、伊藤のお下がりの衣装を着せ、普段は、一般客の隙間をぬって練習させた。今でも山田は、名古屋スポーツセンターにて、未来の選手となるべく子供達を指導している。

また、全国的に経営難で数が減っている通年を通して使用できるスケートリンクが、2つ健在しているのも王国の源流と言えよう。小塚嗣彦によると、1950年に名古屋市千種区に通年型のリンクが作られて以来、幾つか出来て消えては行ったが、途切れてしまった事は一度もなかったという。今季、世界選手権優勝を果たした、安藤美姫を指導した門奈裕子は「現存する名古屋のリンクは、2ヶ所共、民営だから時間的にも融通が効く」と語った。公営のリンクだと早朝、深夜の営業は難しいが、民営なら無理が言えると言うのだ。門奈も名古屋にある2ヶ所のリンクを行き来して指導にあたっている。
クリックすると元のサイズで表示します 中京大・豊田キャンパスに建設中。
(2007年5月、リンク完成予定図)


更に現在、中京大学がフィギュア専用リンクを建設中、大阪の関大(高橋大輔・織田信成在学中)が、アイスホッケーにも使える汎用リンクを建設したのに対し、フィギュアスケート専用とは、選手にとって非常に有難い環境、格好の練習拠点となりそうだ。「やるからには徹底してとことんやる」…名古屋流の考え方が垣間見えて面白いと思った。トリノオリンピックで金メダルを獲った荒川静香を指導した長久保裕も昨年より、閉鎖された仙台のリンクから拠点を名古屋に移した。長久保は、昨年、名古屋で開催された地方大会に選手達を初参加させたが、その国際大会並みの盛り上がりぶりに「仙台なら大会を2日間も行わない。名古屋では参加者も多くて親も熱心、とても(仙台では)考えられない!」と、驚いたそうだ。

先に述べた山田が、専属で指導する名古屋スポーツセンターは、名古屋市の繁華街から少し南へ下った、大須観音沿いの古い街並みの中にある。私も専門学生時代は、その辺りへ買い物や食事を摂りに行ったりした。スケートリンクに入った事もあるが、リンクサイドに子供達の練習を見つめている母親が、ずらりと並んでいて驚いた。指導するのに親が見ていると、親が口出したり、子供が甘えたりするから…と嫌うコーチもいるそうだが、山田は反対の意見で、「子供は親が褒めてくれるのが一番嬉しい。親も子も一緒に悩み、一緒に喜びたい。怪我を防ぐ為にも見て貰っていた方がいい」…という。小塚、門奈、山田…カリスマ性のある指導者が何人もいて、通年滑られるリンクがある。「フィギュアスケートは、名古屋の文化の一つとて根付いている」と言ってもけっして過言ではないだろう。(敬称略)

◎お詫び
スタッフの身内に不幸が重なり、仕事上人手不足の為、ブログの更新及び頂いたコメントの返事が遅れています。ごめんなさい。

0



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ