2007/5/31

婚礼…ご自宅着付から新婦のベーゼンドルファー・ピアノ演奏まで  着物の着付関係(和服)

5月27日、その日は朝から青空が広がっていた。近所のお茶屋さんのお嬢様…ピアノの先生の結婚式…。式場は、花嫁さんたっての希望で、ウィーンのイグナーツ・ベーゼンドルファー社の製作で、同じくウィーンの建築家、ハンス・ホラインがデザインした、デコラティブなピアノが設置されているという…伊勢湾沿いの某式場で行われた。その式場の経営母体は写真館で、美容師・衣装等、全て持ち込み不可という事だったが、花嫁さんとお母様のご指名もあり、式場側と交渉して下さって、私は初めてその式場・披露宴で、ブライダルの仕事を担当させて頂いた。
クリックすると元のサイズで表示しますチャペルの外観。
チャペル入り口に飾られた生花クリックすると元のサイズで表示します
(スモークツリー、薔薇のジュリアやマダム・ヴィオーレも入れて貰った)


当初、花嫁さんは、ウェデングドレスでご自宅を出られる予定だったが、ご自宅がお茶屋さんという事もあり、純和風のお家だったので、私がコンクールやスタッフに使用するために購入していた和装(白無垢・色内掛け)を着て頂くようにご提案した所、花嫁さんは勿論、ご家族も大変喜んで下さり、ご自宅から和装で出て、私の店で洋装に着替えて式場に向かう事となった。当日は、花嫁さんが出来上がる時間になると、続々と見学、お見送りして下さる方がお庭に詰掛けられて、後でお尋ねした所によると、配られたお菓子の数から、100人は超えていたらしい。最近ご自宅から出られるお嫁さんが少なくなったせいか、白無垢から色内掛けに替えると拍手も起こった。
クリックすると元のサイズで表示します 衣桁に掛けた白無垢(花嫁宅)

ご自宅を出られる所
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式場に着くと、まず花嫁さん(以下新婦)を控え室にお連れして、私は、チャペルと披露宴会場を確認しに行ってみた。披露宴会場には、新婦こだわりのピアノ…ベーゼンドルファー社のピアノがどっしりと存在感をアピールしていた。そのピアノは「タキシード」というテーマで、ピアノの大屋根(蓋)の部分を赤いラッカーで仕上げた地色に、金色の模様を施し、ハンス・ホラインはその大屋根をタキシードの裏地に見立ててデザインしたという。大屋根の赤と、ピアノの黒のコントラストが斬新で、正にタキシードのように凛としてスマートな印象がして、私の目を釘付けにした。

クリックすると元のサイズで表示しますベーゼンドルファー製ピアノ。

チャペルは披露宴会場から200メートル程離れていて、外を移動するために、雨が降ったら?と懸念したが、その時は、バスで移動になるという事だった。厳粛なチャペル式の後、披露宴が始まった。新婦は、ウェデングドレスのまま、ヘアー飾りのみチェンジして入場、ご来賓の挨拶の後、ノンアルコールのシャンパンで乾杯、そして花嫁さんの生徒さんが新郎・新婦へとプレゼント演奏もされた。その後、新婦はカクテルドレスに色直し、そして待望のピアノ演奏となった。彼女が選んだ曲は、リストの『ラ・カンパネラ』=鐘という曲で、きっと誰もが耳にした事はあると思うが、ピアノ奏者なら、誰もが憧れる曲なのだそうだ。
ウェディングドレス姿。 クリックすると元のサイズで表示します

しかし、その演奏は、速度も軽快で速い上に、1オクターブより広い音程を含む跳躍があり、手先の器用さ、正確さ、弱い指の機敏さを鍛える練習曲として使う事もあるそうだが、最大で15度の跳躍があり、演奏者は、手を移動する時間を与える休止がないまま、2オクターブ上で同じ音符が演奏され、他にも薬指と小指のトリルなどの難しい技巧を要し、非常に難しい曲なのだという。新婦の演奏は、とても力強く尚且つ、流れるような美しさもあり、素人の私でも感動して涙が止め処なく溢れた。
新婦によるラ・カンパネラ演奏クリックすると元のサイズで表示します

光栄にも宴席に私の席も用意して頂き、美味しいお料理を堪能すると共に、新郎新婦の知人・友人の方々には音楽に携わる方が多く、心が豊になるような素敵な披露宴だった。また 対照的であるような気もするが、新婦のお父様が用意された、引き出物のお茶に添えられた言葉も、私の胸に深く刻まれたので、以下に記して置きたいと思う。

『茶の木は直根(大根や人参のように側根が小さく)真っ直ぐに根を伸ばす事や、植え替えが効かないという俗説等から、嫁入りと茶は結びついたとされています。結婚式の当日は、花嫁が親族に茶を入れる事を、最初の仕事とする風習もあります。また、茶は健康にも非常に良いと言われていますので、花嫁の実家の茶を使わせて頂きました。どうぞご受納下さいませ』(ご両親より)

クリックすると元のサイズで表示します 伊勢湾の綺麗な夕焼け。

お店の手持ちの衣装という事で、前日から新婦さんのお家へ伺って衣装の準備をし、当日は、早朝から夜まで関わらせて頂いた結婚式であったが、ご両家の方々にもとても喜んで頂けて、美容師冥利に尽きる仕事だったと思った。そして帰路に向かう頃には、伊勢湾の綺麗な夕焼けと、心地よい海風が、私を労ってくれている気がしていた。
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