2007/10/29

ワールドシリーズ第3戦…初めてづくしで育まれたチームワーク  Boston Red Sox・MLB

ロッキーズの本拠地、クアーズ・フィールドで行われたワールドシリーズ第3戦は、序盤レッドソックスのワンサイドゲームになるかと思われたが、6回好投を続けていた松坂が2つの四球で降板すると、見所満載のゲームとなった。結果は、レッドソックスが10対5で3勝目を挙げたのだが、その数字だけでは表せないような多くのドラマが含まれていた。そして、その中からそれぞれの史上初という記録が幾つか生まれた。まず、松坂が日本人初のワールドシリーズ先発投手となり、そして1回表、松坂と松井稼頭央のメジャーでの初対決の場面を迎えた。これは松井が初球をヒットし、先輩メジャーリーガーの意地を見せた。更に3回表、松坂のメジャー初ヒットが2点タイムリーとなって自身のバットで6得点に絡んで貢献した。
クリックすると元のサイズで表示します ワールドシリーズ…初登板、
初ヒット、初勝利の松坂大輔。


クアーズ・フィールドが湧き上がったのは、6回裏、ノーアウト一塁、二塁で松坂降板の後を引き継いだロペスが、連続安打を浴び2失点。ロペスは1アウトを取れないまま、ティムリンにマウンドを任せた。レッドソックスはその回は、2失点に防いだものの、7回裏、松井稼頭央が見事なバントヒットで出塁すると、2塁へと盗塁、打者トゥロウィッキーもヒットで一塁、三塁となった。結局、ロッキーズは、第2戦で3インニングをまたいで投球した岡島を、ブルペンから引き出す事になった。海抜1600メートルのクアーズ・フィールド…変化球は変化し難い…岡島の左腕の疲労…その時、偶然仕事の手が空き、試合の実況を見ていた私は嫌な予感がした。打者はナショナルリーグ2冠王のマット・ホリディ…。ホリディは岡島の投げた初球(チェンジアップだったと記す新聞が多いが、私には直球に見えた)をセンターへ運び、3ランホームランとしてしまった。1点差…クアーズ・フィールドは、白いハンカチが舞い、大歓声に包まれた。私は胸が苦しくなりそうだった。
バントヒットを含む3安打クリックすると元のサイズで表示します
盗塁を決めた活躍も実らなかった松井稼頭央。(二塁手はペドロイア)


しかし、岡島の粘り強さはそこからだった。NHKの森中氏の説明によるとロッキーズへ入団して11年…1578試合目にして、初のワールドシリーズ出場のトッド・ヘルトンにもヒットを許したが、続く3人の打者からアウトを奪った。投げている岡島も、リードするバリテックも、そして「岡島しかいない」…と交代させなかったフランコーナ監督にとっても、耐え忍んだ長い時間だったに違いない。及ばずながら、その時私も「(ホームランを)打たれたけど勝っている。第2戦だって1点差を守りきれたではないか!」と自分に言い聞かせていた。チーム内にもファンの中にも、誰も岡島を責める者はいなかったに違いないが、唯1人…岡島だけはこの感触を忘れはしないだろう。それが「初登板で、いきなり初球をホームランされた事を戒めとして、投げ抜いて来られた」と語っていた岡島だからこそ…である。

本塁打を打たれた後、渾身の力投で得点を許さず3アウトを奪った岡島に、8回裏、チームメイトが応えた。2度に渡る好守備で投手陣を救って来たルーゴが四球を選んで出塁すると、途中から出場していたココ、エルズベリー、ペドロイアの連打で7回裏にとられた3点を奪い返した。尚、この試合、エルズベリーの4打数4安打は、ルーキーとして、ワールドシリーズタイ記録(1イニング2本の二塁打もタイ記録)であったが、エルズベリーとペドロイアの…ルーキー選手2人が揃って3安打以上打ったのは、ワールドシリーズ史上初めての事だという。更にレッドソックスは、9回、先頭バッターのローウェルが、センター前にヒットで出塁すると、コーラがバントで二塁にきっちり送った。そしてバリテックの打席時、足の速くないローウェルが、三盗を決めタッチアップで帰還した。この三盗は相手バッテリーの隙をついたもので、かつて『隠し球』を披露したこともある、頭脳派のローウェルらしいプレーだった。ボストン・ヘラルド紙にも載ったFOX TVの資料によると、レッドソックスのポストシーズン史上において、1975年のリーグ チャンピオンシップの試合でJuan Beníquezが決めて以来、実に32年ぶり。ワールドシ リーズでは初の試み…初成功!となったそうだ。
クリックすると元のサイズで表示します ヘルメットを飛ばし激走するラミレス。
(写真はYahoo photoより引用)


1点でも多くとって岡島の気持ちを楽に…私はその時、皆がそう思っていたように感じた。結果、岡島が「失投だ」と、おそらく悔いているであろう…あの3ランの1球が、レッドソックス史上に新しい記録を刻む事となった…と言っても過言ではないと思った。開幕から戦ってきたチームメイト、ここに来て、レギュラーシーズンで活躍し切れなかったルーゴやドリューが活躍し始め、序盤は打率1割台だったペドロイアが攻守に渡って、暴れまわっている。ベンチでは、ペドロイアが松坂に(多分、利き腕に負担をかけないような?)バッティングアドバイスしていたりした。オルティーズも痛い右膝を抱えながら一塁を守った。ラミレスもヘルメットを飛ばして爆走…(WBCの川崎のように『神の手』とはならなかったが)、本塁へと走りこんだ。パペルボンも気迫でクローザーの役割を果たした。負ければ終わりという1勝3敗の窮地から勝ち上がったリーグチャンピオンシップから特に感じて来た事で、きっと当たり前の事かもしれないが、選手全員が飛び交う1球を追い駆け、誰のプレーにも心を1つにして一喜一憂する…『ワールドシリーズ制覇!』とは、チーム全員が「1つの家族になるようなものだ」と改めて思った。
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