刺し身を食べるときに脇に添えられるのがわさびやしょうが。両方とも魚の生臭みを消す効果があるのですが、どのように使い分けるか、ご存じでしょうか。

わさび
アブラナ科の多年生水生植物です。西洋わさびと区別するために”本わさび”と呼ばれます。 夏涼しく冬温暖な山地の沢に生え、水温が10度から17度の範囲でないと育ちません。 また水質(酸性かアルカリ性か、含まれているミネラルの割合など) などの条件が合わないと生育が悪くなったり病気になったりします。 収穫までに3〜4年かかる割に採れる量が極めて少ないので、どうしても貴重品になってします。
本わさびの中でも、品種改良によって畑でも栽培できる品種もあります。 実際には沢沿いの傾斜地や山林の木の下で栽培されている事が多いようです。 成長も早く、18ヶ月で出荷されます。これらは畑わさびと呼ばれています。 (それに対して沢で栽培されているものを沢わさびと呼びます。)
わさびの特徴は、ピリっとした辛さ。この強い辛みが舌を刺激して、臭みを感じにくくするのです。ただし、持続性はありません。どちらかといえば、タイやヒラメなど淡泊な味の魚に向いているのです。このわさびの辛みは揮発性のもの。加熱したり長時間放置すると、徐々に少なくなっていきます。

生姜
南アジア原産で、中国では紀元前500年頃には薬用にされていました。 日本には3世紀頃中国からもたらされたらしく、 ショウガの古名を「呉(くれ)のハジカミ」と言います。呉とは”日の暮れる国”という意味で広く中国一般を指します。 ハジカミ(波士加美または波自加彌)は顔をしかめるという意味で刺激的な味だという事を表します。 古来から山椒(さんしょう)をハジカミと言っていましたが、ショウガが日本に伝わると、 山椒を和のハジカミ、ショウガを呉のハジカミと呼ぶようになりました。 ショウガと呼ばれるようになったのは江戸時代からです。
ヨーロッパにも薬用として古くから伝わっていたようですが、あまり一般的ではありませんでした。 14世紀頃にはコショウに次ぐ東洋産の貴重なスパイスとしてもてはやされるようになり、 17世紀英国でのジンジャー・ブレッドの流行とともに普及していきます。
しょうがの辛みは刺激もありますが、生臭みの成分と結びついて、臭い自体を消そうとする働きがあります。くせの強いカツオやアジに添えられることが多いのはこのためです。さらに熱にも強く、肉の下味つけやイワシを調理する際にも、よく臭み消しに使われます。
瞬発力のあるわさびと、持久力を備えたしょうが。両方とも食欲を増進させる働きがあります。食欲があまりないという方は、上手に利用するといいですね。

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