2008/4/11  23:58 | 投稿者: ikkomusic

世界的テノール故パバロッティ氏がオリンピックで歌った感動的な『誰も寝てはならぬ』は口パクだったという記事がありましたね。「政治家の口パクに目を光らせましょう」みたいな結びでしたが、私はちょっと違うことを考えました。なぜ彼は口パクを選択したのか…
私は生のコンサートをしますから生のコンサートの怖さはイヤと言うほど味わってます。そりゃあもう怖いですよー!(>_<)私だけでなく、演奏家は皆さん夢を見るらしいです。「今から本番、さあステージに立って!」と言われるんですが、一度も練習してなく当然暗譜もしてない曲を演奏しなきゃならない…顔面蒼白、手には冷や汗…客席満員…うわぁ、どうするの!これ!!っていう夢をね。
パバロッティ氏も例外じゃなかったんですね。晩年の彼はベストな状態で歌えることばかりではなく、ヨーロッパの歌劇場でもブーイングが飛んだりしたらしいですからそのストレスたるやすごかったんでしょうね。
もう一つの要因としていわゆる『生じゃない音の氾濫』があげられると思います。CD、MD、i-pod、パソコン、携帯…その他様々な音楽媒体により音楽はどんどん気楽に聴けるようになってきています。気楽でしかも失敗のない世界…それが当たり前の世の中です。
でもクラシックの生演奏は違います。綱渡りというか…刀の上を歩いてるみたいなところがありますよね。昔はキングオブハイC(ツェー)と呼ばれたパバロッティの綱渡りのようなハイCを手に汗握りながら聴衆は聴いていました。それが彼の演奏の醍醐味でした。彼は気づいてしまったんですね。今の聴衆が求めているのはCDやMDでいつも聴いているような気楽さと安心感なんだって…
私達は生演奏の良さ(機材を通してでは得られない癒しや安らぎなど)を啓蒙して行かなきゃと思ってましたが、それに加えて生演奏の危うさと危ういからこその魅力も伝えて行く必要があったんですね…
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