昨日は時間がなくて書けなかったのだが、「報道ステーション」で、デニス・ビールマンを取材していた。
あまりにも嬉しくて感慨に耽ってしまった。
私は今も昔も、女子スケート選手でビールマン選手が一番好きなのだ。
本来ならあの時間帯(夜10時〜)は、私はテレビなど見ないのだが、新聞のテレビ欄にフィギュアの放送があるようなことが書いてあったので、わざわざその時間(10時45分ころ)にテレビをつけたのだ。
もちろん、報道ステーションの10時ごろはニュースをやっているので、その時にはテレビを消していた。
ニュースは新聞で読むから(またはNHKで見るから)テレビで見なくてもよいのだ。
で、報道ステーションを45分ころに見たら、松岡修三氏がジャンプを飛んでいた。うまい(笑)。
私も練習して、ぜひとも地上でジャンプを飛びたくなった。
スルツカヤ選手なんて、地上でも3回転ジャンプを飛べるんだもんね。
もしかしたら地上でスピンが出来るかもしれない。練習し…
いやいや、私が家の中で練習したら、家が潰れるかもしれない。震度6弱ではないか。ウチは耐震強度5くらいしかないからなあ。
それでこの放送を見て、デニス・ビールマン選手が女子で初めて3回転ルッツを飛んだ人だということを知った。
彼女はビールマン・スピンで有名だが、3回転ジャンプも飛べたんだよね。
彼女のジャンプには、顕著な特徴があった。
普通の人はジャンプを飛ぶ時、回転を速めるため体を小さくして両脇を閉めて飛ぶのだが、ビールマン選手は、その時、両腕を交差した。
腕をクロスして飛ぶのだ。
きっと彼女のくせで、特に意味はないと思うのだが、それが見ていてとてもエレガントで好きだった。
飛ぶ時の姿勢は、選手によっていろいろあって、それは癖だと思うし、どんな飛び方でも飛べればいいと思うのだ。
エルビス・ストイコ選手はあごを突き出し(普通の選手はあごをしめるのだが)、両腕をコサックダンスをする時のようにクロスして脇を肩の位置まで上げて飛んだ。
ちょっとがむしゃらに見えて、ストイコ選手のキャラクターと重なって、彼がジャンプを飛ぶたびに笑えたものだ。
でも、特徴があってきらいではなかった。
中野友加里選手のジャンプは良く分かる特徴があるが、「巻き足」というそうで、良くないジャンプだということだ。
でも私は嫌いじゃないし、悪いクセだと言うことだが別にそれで減点されていないし、それは個性で良いのではないかと思うのだ。少なくとも汚いジャンプだとは思わない。
(伊藤みどりもそうだった)
ただでさえ新採点になってから、みな同じようなプログラムを作って曲だけ違う、みたいな感じになっているので、それぞれの選手の個性がある方が私は好きだ。
閑話休題。
ビールマン選手のジャンプにはもうひとつ特徴があった。
それは、ジャンプを飛ぶ時、まるで、体操選手のように手を上げることだった。
体操選手が跳馬を飛ぶ時、これから飛びます!とアピールする感じで片手を上げるが、それとおんなじ形で、ビールマン選手は3回転ジャンプを飛ぶ寸前に、これからジャンプ飛びまーす、と合図をするように片手を大きく上げていたのだ。
これも彼女の癖だったのだろうけど、私は彼女が手を上げる度に、お、ジャンプ飛ぶんだー、と見ていて楽しかった。
こういう、見ていて楽しい選手が好きだ。特徴があり、それがチャームポイントになっている選手。
そして、ビールマン選手の最大の武器がご存知のビールマン・スピン。
彼女のビールマン・スピンは、未だに彼女以上に素晴らしいそれを見たことがない。それくらい質の高いスピンだった。
彼女のビールマン・スピンの特徴は、スピンに入る寸前に足を蹴って必ず加速することだ。
まずキャッチフットから入って回り、そのあと、ビールマンに入る瞬間にぐっと加速して、ビールマンに入ると高速で回る。
だから誰よりも早いビールマン・スピンを回れた。
彼女以上に早いビールマンを回っている選手はいないと思う。
少なくとも、ビールマンスピンに入る直前に加速している選手はいない。
だから、ビールマン選手のビールマン・スピンはワンアンド・オンリーなのだ。
「報道ステーション」にはなんと、昔のVTRだけでなく、現在のビールマン本人が登場した。
もう40代ということでさすがに老けてはいたが、でぶりもせず、体も柔らかかった。大したものだ。
私は、現役選手の時の彼女のボディを見ていて、油断したら太るタイプと思っていたのだが…。摂生しているのだろう。
腰を痛めたとかで、もうビールマン・スピンは回れないらしい。
悲しいことだけれど、私の記憶の中には彼女のかざぐるまのようなスピンがくっきりと残っている。ビデオもある。それでじゅうぶんだ。

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