狩野永徳展が10月に京都国立博物館で開かれる。
永徳といってもよく知らなかった。
狩野派についてすら、つい2、3年前に概要をなんとか把握したかしないかくらいの知識なのだから。
狩野派の画家が沢山いるのもややこしい。
永徳やら山楽やら探幽やら…、誰がどれだか分かりゃしない。
宣伝チラシその他を見ると、どうやら永徳で最も有名なのは宮内庁(?)の持っている唐獅子の屏風らしい。
その次に檜図、それから京都の大徳寺塔頭に襖絵がちらちらとある。
どんな画風なのかも知らない。
ただ、宣伝チラシによると信長や秀吉に愛され、そのあとは徳川家に取り入ったというから有名どころを渡り歩いた派手な生涯だった。それで有名なのだろう。
(徳川幕府に用いられたのは狩野派をついだ永徳の子供や孫だったらしい、このへんよく知らないので、知っている人は脳内で訂正しながら読んで下さい)
ということは、有名政治家が好みそうな、ど派手で分かりやすい、キンキラキンな画風と見た。違うかな。
私がこの永徳展に興味があるのはひとえに「洛中洛外図屏風」が来るからだ。
「洛中洛外図屏風」は日本中に沢山ある。京都の博物館にもある。
でも洛中洛外図の中で最も有名なのは米沢市にある上杉本という奴だ。
信長が上杉謙信に送ったという、派手な曰くのあるあの絵だ。
米沢市がどこにあるのか知らない(これこれ)。
でも、昔、一度旅行で行ったことがある(なのに何県か知らないのか)。
米沢牛が有名だった。なぜか駅の写真を撮った。
国鉄だった頃で、デジカメでなく普通のカメラでだ。
とても良い所だった(なのに…以下同文)。
だから、ちょっと前、米沢市の農協が、農水大臣がどうのこうので裏金を作っていたというニュースを聞いて悲しんだ。
農業の人も大変なのだ。ちょっとくらいのお金でも欲しかったのだろう。
私はそう思ったが、世間が許さなかった。
アベ氏がこんなになった今、もう世間はすっかりあのことを忘れているだろうけれど。
話がそれてしまったけれど、そんなわけで、米沢市が持つ国宝「洛中洛外図」が京都に来るとは思わなかった(ただし国宝に指定されたのはわりと最近)。
米沢市が離さないだろうと思っていたからだ。
あれを見るには、米沢まで行かなければ一生見られないだろうと思っていた。
それがどういう策略でか、京都に来るという。長生きはするものだ。
それが永徳の作品だということも知らなかったと思う。いつ頃知ったのか知らなかったのか?嗚呼それが定かでない。
記憶力がいよいよなくなって来た。
でも宣伝チラシに、上杉本が確かに掲載されている。
何度も見間違いではないか、上杉本ではなく他の洛中洛外図ではないかと思ったが、確かに米沢市と書いてある。
やはり来るのだ。
なんと嬉しいことだろう。一生実物は見られないと思っていたから。
京都市民にとって、洛中洛外図を見るのは格別に楽しいことだ。
京都の名所がずらりと描かれていて、なぜあれがあんな所に?これがここにあるのはヘン、と突っ込みをいれながら見るのが楽しい。
そして、祇園祭の山鉾が描かれているのが楽しい。
絵を見たら、どの鉾か、どの山かが京都の市民なら分かる。それが楽しい。
長刀鉾、船鉾、鶏鉾、函谷鉾、そして蟷螂山…、
つまり、殆ど今と変わらない山鉾の姿が描かれているのだ。
したがって今回の永徳展は私にとって、この上杉本を見るだけでも値打ちがあるというわけなのだ。
前回の失敗を踏まえて、今回は前売り券を買った。
だから、10月までは健康でいなくてはならない。
プレイガイドで前売り券を買う時、狩野永徳展と書いてくれと言われ、焦った。
漢字が書けるだろうかと焦ったのである。
書けなかったらどれだけプレイガイドのお姉さんに嘲笑われるだろうか。
けれども何とか書くことが出来、ことなきを得た。良かった良かった。

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