「風林火山」はいよいよ川中島の合戦(第四次)。
迷走していた脚本も何とか収束に向うようだ。
もともと私は大河ドラマがきらいなのだった。
理由は幾つかあるが、それはまあ次の機会に書くとして、だからこれまで真面目に見ようと思わなかった。
ただ「義経」は神木君がラブリーで、後白河法王のキャラが素敵だったので楽しみだった。相方の夏木マリはやりすぎで、くどいと思ったが、平幹二郎は最高だった。
ガクト景虎(現在は上杉政虎にグレードアップ)はその、後白河法王に次ぐキャラだと自分では思ってる。
あんなお屋形様がいたら家臣は大変だろう。
一方であれが敵だったらすごくイヤだろう。
そう思ってしまうところが、政虎キャラの傑作なところ。
私は「風林火山」の始めの方を、興味がなかったから全然見ていない。
で、どんな話だったか知らなかったのだけど、何でも勘助が武田に仕官するまでが描かれていたらしい。
それだったらどっちみち見なかったろうし、見る必要もなかっただろう。
何度も言うけど「風林火山」と聞いたなら、イメージとしてまず武将たちの合戦…、私はそこにしか興味を引かれないのだ。
ほかの余計な話は見たくない。
でも、後半の「風林火山」を見ていても合戦シーンなど殆どなく、あってもしょぼいか、あっという間の数秒しか描かれないのだ。
あるのは平蔵だとか伝兵衛とかリツとかのまったく要らないキャラの間延びしたシーンばかり。
伝兵衛の人の芝居は上手で楽しいけれど、でも(ストーリー的には)まったく必要のないキャラだろう。
そのような余計なキャラがあれこれ芝居をするシーンはたっぷりあるのに、武田軍や越後軍や、その他の国の武将のしどころが全然ない。
せっかく良い俳優を使い、それぞれの家の家臣に配置しているのに、出陣の時に並んでるだけで、セリフもない。
あれだけの俳優を集めておいて、セリフもなく、並んでいるだけなんて。
どうして、武将の活躍を描いてくれないのだろう。
例えば第一次川中島で、武田方と越後方の武将が一騎打ちになる。勝負がつかず、引分け。
そして第四次川中島で再度激突・一騎打ち、片方が倒れる。
それだけでもじゅうぶんなドラマになるはず…。
もちろん嘘っぱちだけど、でも他のシーンだって嘘ばかりなのだから、それくらいあっても良いのではないかと思うのだ。
或いは、橋の上で一人の豪傑な武将が馬に乗って仁王立ち。
攻めて来た越後軍はその気迫に押され、動けない。
武将が牽制している間に、武田軍の後詰は犠牲を一人も出すことなく兵を引くことが出来たのだった。
ってどこの三国志だ、という話なんだけど。
合戦のシーンはお金がかかる。
雑兵たちの衣装、エキストラ、鎧兜、馬の調達……、経費がかかりすぎるから合戦シーンがあまりないのだと聞く。
だから仕方がないのかもしれないけれど、一騎打ちくらいなら描けるのでは…
「風林火山」と銘打っておきながら、屋敷の中で繰広げる人間ドラマばかり…なんて…興醒めもいいとこ。
私は越後側のファンだけど、だからと言って越後内部の人間ドラマもいらないなあ。
それを描く時間があるなら武田の武将の武勇とか、そういうのに時間を割く方が正しいだろう。武田側が主人公なのだから。武田側のお家の内部事情は要らないけど。
ひとつのエピソードが終わると、そこで話が終わってしまい、登場人物の感情もそこで途切れてしまうのももどかしかった。
一年というスパンの流れの中での人々の感情が続いていないような気がしてしまう。
畳みかけるようなストーリー展開になってないからだろう。
話が一段落しても、さらにたたみかけるように武田軍に危機が襲って来て…というような、繋がりのあるストーリーなら良かったのに。
と、後半部分を見ただけでもいろいろ文句を言いたくなるのだが、「利家とまつ」や「功名が辻」よりかは遥かにまし。これだけは確か。「功名が辻」は淀君だけ良かったなあ。どちらも風呂上りの10分ずつの鑑賞だけども。
まあ、最終回に向けては待望の合戦なので、期待しているのだ。お風呂も早めに上がるぜ!
ところで、ガクトの景虎写真集「龍の化身」というのが出た。
なんとNHK出版からだ。
はっきり言って、私は買ったよ。商品券で。だから150円だけ出して。
これが期待外れだった…。
ちょっとは越後軍の直江さんたち武将の勢揃いとか、桃姫だとか、あれこれが写ってるかなと期待していたのだ。
それからバックステージというか、ドラマの撮影風景なんかがね。
緒形拳さんがかろうじて何枚か写ってるだけ。
高野山の決闘もないのだ、一緒にお食事してる場面とかが。
まあ、他の俳優さんを出すと権利関係がややこしいからかもしれないのだが。
緒形拳さんはインタビューもあって、きっとオーケーが出たのだろう。
とにかくひとことで言うと、ガクトがコスプレしてる写真集。というだけ。
ほんとにね、ガクトが一日一食だけとか、アジアがどうのこうのとか、どうでもいいんよ。そんなことは。もっと風林火山の裏話が欲しかった!
他の出演者の話とか、ロケ現場の話とか。
でも、ちょっと良かったのは鎧や装束などのディテールが堪能出来たこと。
謙信の馬上杯をうまいこと模したコップのアップもあった。
合戦にお金をかけないで、装束にお金をかけていたらしい。
他に気がついたこと
・本当にブーツを履いてる
・成田を鞭でシバく場面では草履を履いている
・ピアスのあとはメイクで消しているらしい
・アップで見るとアイラインを引きすぎ
それから自分と上杉謙信を等価に語るなよと。謙信は歴史に残る偉大な殿様だけどガクトは歴史に残りゃしないよ。
私はやっぱりガクトのファンではないようだ。

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