このブログでつづくと書いてつづいたためしがないのだが、今回は続ける。
そんなわけで、京都国立博物館は、12月7日でとりあえず営業を止める。
そして、その直前にさよなら記念セール、ではなかった記念展示をやる。
もうやっている。
国宝のオンパレードだ。
12月の第一週はさよなら記念で無料観覧ウィークになる。珍しく太っ腹だ。
この機会に是非行ってみることを協力に薦める。
何が展示されているかと言うと、まず「伝源頼朝像」とその仲間(平重盛)。
でも博物館では「源頼朝像」として展示していて、説明文にも、近年頼朝ではないという説があるということにすら触れていない。
ここは京都博物館の意地でもあるのだろうか。
さらに「明恵上人像」、雪舟の「山水図」、「鳥獣人物戯画」、親鸞の筆による「教行信証」など。
これらは全部国宝だ。
そのほかに狩野永徳の「仙人高士図」、長沢芦雪の「百鳥図」、伊藤若冲の「乗興舟」など。
若冲の「乗興舟」は板木も一緒に展示されていて興味深い。感動する。
芦雪の「百鳥図」は以前奈良で見たことがあるが、とても素晴らしくて、再び見ることが出来て幸福だ。
もう終わってしまったが、10月にも国宝がずらり並んでいた。
知恩院の「阿弥陀二十五菩薩来迎図」、「一遍聖絵」「華厳宗祖師絵伝」、「法然上人絵伝」、「芦手絵和漢朗詠抄」などが国宝で、この10月期も豪華だった。
さよなら記念で、もう在庫一掃という感じだ。
とくに有名な「阿弥陀二十五菩薩来迎図」は、阿弥陀さまが家来を引き連れてある貴人の臨終に雲に乗って超特急でやって来る、その特急で急降下する雲の描写がとにかく笑えるほど面白い。
リアルというか、現実である筈がないのに説得力がある。
「一遍聖絵」の小さな一遍上人の可愛らしさ、「芦手絵」の構成の巧みさ、そして「華厳宗祖師絵伝」、これは祇園祭の放下鉾の水引が、これをもとに織られている。その元の絵をしっかり見ることが出来て感激だった。
考古室は変わり映えしないようではあるけれど、実は「藤原道長展」関連のきんぷせん寺の経箱3個(すべて国宝)がここの所ずっと展示されていて、これはダークホース的見ものであった。
ちょっと前(夏ごろだったか)に道長展のアフターで、源氏物語特集という触れ込みで、経箱や経筒など国宝ばかりがずらりと並べられていた。それのお残りのようだ。
自分的にはあまり興味がないが、仁清の茶碗なんかも置いてあった。
仏像では、人気のある「宝誌和尚」が最近ずっと飾ってある(私が面割れ地蔵と名づけたやつ)。
清水寺の本尊開帳に合わせたのか、清水型の千手観音が展示されているのも一興か。
仏像といえば、もう何年もずっと展示されていた六波羅蜜寺の四天王のうち「多聞天」と「広目天」。
六波羅蜜寺の宝物館が新しくなったので、いよいよ里帰りするらしい。
これでやっと、元のお寺で4人が勢揃いするのだ。
博物館で見ることが出来るのはもう今期限りかもしれない。
博物館がリニューアルされた時には、もう彼らの姿はないかもしれない。
そう思うと名残が惜しいことよ。
そう言えば、ある時期からずっと展示されていた三十三間堂の千手観音は最近姿を見なくなった。
あれはもとのお堂に帰っているのだろうか。
浄瑠璃寺の多聞天も何年もずっと展示されていた。
あれは国宝で、浄瑠璃寺にはいろいろ国宝があるが、多聞天一人だけが博物館に来ていた。
いつでも見られる国宝彫刻としてお馴染みさんだったが、彼ももとのお寺に戻るのだろうか。
浄瑠璃寺といえばアライグマに荒されたことがニュースになった。
安易にペットとして飼っては捨てる人間の身勝手さが呪わしいことよ。
それにしても、この12月で平常館をいったん閉鎖ということは、来年からはもう平常展通いが出来なくなるということだ。
毎月何が展示されるか楽しみで、「博物館だより」をもらって来ては、ホクホクしながら隅々まで展示物をチェックしていた、平常展示ファンの私はまさに涙目。
近鉄の閉店と同じくらいのダメージだ。
来年から何を楽しみに生きていけば良いのか。
旧館で、平常展に置いてあった物品を時々展示してくれれば良いのだが…。
平常展示で、絵巻のファンになった。
今思えば中国絵画の部屋さえ、日本画にこういう風な影響を与えているのか、と勉強になった。
着物、織物の部屋はたいていスルーしていた。ごめんよ。
漆器・刀剣・工芸の部屋では、日本の職人の高度な技術に毎回驚いていた。
何が飾ってあっても屏風の部屋は楽しみだった。
ああ、何もかもがみな懐かしい。
あのすすけたうらぶれたさびれた展示室の何もかもが愛しい。
ああ、それでは見なれていた仏さんたちともお別れ。
名残惜しいことよ、みんなもとのお寺に戻っても達者でいてね。

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