突然、「ロシュフォールの恋人たち」という映画をレンタルして見た。
昔も大昔、1967年というから今から40年以上も前の映画。
楽天ブックス
もう一つ別のところ
これには思い出があって、その昔烏丸五条に大きな映画の看板があり、そこにこの映画の宣伝がしてあったのを今でもよく覚えているのだ。
レンタル更新の連絡があり、これまで更新の時にはレンタルが一回無料サービスがあったのだが、今年から10枚綴りの割引券になってしまった。
一回無料よりも、10回割引で、沢山レンタルしてもらうためだろう。
だいぶ不況のようだ。
まあそんなでDVDレンタル店へ様子を見に行った。
最近はもうビデオをレンタルしていない。店内はすべてDVDに変わった。
当たり前なのだろうけど…。
うちの近所のレンタル店は、歩いていけるのがありがたいが、店の半分くらいが韓国ドラマで埋まっている。
あんなもの誰も見ないと思うのにどうしてだ…といつも思う。
しかし、外国(アメリカ)テレビドラマや、日本のテレビドラマもどっさり扱っている。
それから、目立つのはお笑い。そしてアニメ。
そういったものが多くて、肝心の映画のDVDが隅っこの方に肩身が狭そうに追いやられている。
そういう時代なのか、とレンタル店へ行く度に切ない。
映画って、もう置かないの?
昔のビデオレンタル店には、カルト映画やら、誰も借りなさそうなマイナー映画のビデオが置いてあったりして、私はウハウハ言いながらそういうマイナー映画ばかりを借りていたものなのだけれど。
いや、レンタルそのものがもう、流行っていないのだろう。
インターネットで動画をダウンロードしたり、そんな時代だから、もうレンタルなんていうアナログな行為はみな行わないのだろう。
そんなレンタル店の棚になんと「ロシュフォールの恋人たち」が置いてある。
こんな昔の映画なのにDVDになっているなんて。
(フェリーニの「道」なんかもあった)
私は感激して、つい、昔を思い出し、見たことのない映画だったけど、常々気になっていたこの映画をレンタルしたのだった。
これはフランス製ミュージカルである。
「シェルブールの雨傘」もミュージカルだけれど、ミュージカルというより、ダイアローグがすべて歌になっているという珍しい作品だった。
フランス製ミュージカルは、後にも先にもその「シェルブール」と「ロシュフォール」だけ。なぜだろう。
見始めたしょっぱなから「これは(私には)ムリかもしれない…」と呟いたが、我慢して見ているうちに慣れて来て、しまいには病みつきになった。
一週間「ロシュフォール」づけだった。
ミュージカル嫌いのタモリが絶対にけなしそうな映画で、不自然極まりない作りなのだ。
バックで、エキストラで町を歩いている人たちさえもがもう不自然で、その人たちがいきなり踊り出す場面もある。
だけど逆にそれに慣れさえすれば、簡単にその世界に入っていける。
でも何と言っても「ロシュフォール」はカトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアックの姉妹。
彼女たちが歌って踊る(歌は吹き替えだし、踊りはちょっとだけだが)のを見るのがメイン。
特にフランソワーズ・ドルレアックはこの映画の直後に交通事故死しているので、この映画の、元気に歌い踊っている映像は貴重品だ。というか、もう涙ものだ。
私生活ではドヌーヴの姉で、映画の中では双子の姉妹となっている。
初めてにして最後の共演だった…。
相手が歌を歌っている間にその頬にそっと手を当てたりするしぐさなどは、私生活が姉妹ならではだと思った。
それともフランス人はああいうボディタッチを良くするのかなあ。
双子のおじいさんが模型を作っていることを3回目ではじめて気がついたくらいだから、やっぱり映画は一度見ただけでは分からないことも多いなあという気がした。
双子の衣装を始めとして、コスチュームデザインがとてもおしゃれ。ミシェル・ルグランの音楽もとてもおしゃれだ。
でもダンスを見ていると、私はどうしても当時の「シャボン玉ホリデー」だとか「夢で逢いましょう」等のテレビ番組を思い出すのだった。
こらまた古い話になったが、当時、40数年前に、そういうテレビ番組があったのだ。
コント入りの音楽番組というタイプの。
歌ったり踊ったり、小芝居をしたり…、という、今では見られない構成の番組だ(近いのはスマスマか?)。
そこで踊られていた踊りが「ロシュフォール」のダンスに良く似ていたような気がする。
そうです。
「ロシュフォールの恋人たち」もそういう映画だと思えば良い。
歌や踊りの間に入るお芝居はコントだと思えば良いのだ。
あの烏丸五条にあった看板を思い出しながら、懐かしさに震えながら見続けた「ロシュフォール」であった。
★そのほか 関連もの★

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