関西地方だけかもしれないが、NHKで、「週末の夜は宝塚」という番組を放送している。
宝塚が100周年というのでその記念で放送しているのだ。
内容は、歴代「ベルサイユのばら」完全放送で、「アンドレとオスカル編」「オスカル編」「フェルゼンとマリーアントワネット編」となっている。
で、私はそれをわざわざ録画して見ているわけなのだ。
「ベルばら」にそれほど積極的な興味があったわけではない。
おばさんなので、はっきり言ってまんが「ベルばら」リアルタイム世代である。
しかも、もう大人になっていた。
でも私はどちらかといえば萩尾望都派だったので「ベルばら」に対してはふーんという感じしかなかったのだが、男装の美形ということで、ちょっと連載を読んだりはしていたのだった。
結構「マーガレット」を買って読んでいた気がする。
アンドレが最初割と地味な脇役でしかなかったのが、だんだん存在が大きくなっていたり、クライマックスのベッドシーンでオスカルが「こわい」と言ったりしたことを覚えているのだ。
間違えていたらすいません。
その時、オスカルってもう30歳位だよな、30で処女かー、などと思った覚えがあったり。
でも萩尾望都とか竹宮恵子とかは一生処女、という感じなのに対して池田理代子は実生活でも充実?していたから、なんか「こわい」というセリフがな生々しいなあと思ったりした。
こんなことはどうでもいい。
話がどんどん逸れていく。
そんなで、「ベルばら」に関してはそれくらいしか覚えてなくて、ラストがどうなったかは知らない。
オスカルが民衆の味方になって命を散らした、というのは何となく知っていたのだが…。
話はそこで終わらず、もう少し続いたらしい。
とにかく、「ベルばら」の終了後、しばらくして宝塚で上演するという話が沸き起こった。
これに対して私はおお、宝塚か、なるほど宝塚によく合ってるよな、という気持ちと、これはちんけなものになるんじゃないか、という両方の気持ちを持ったのを覚えている。
何せブロンドの男装長髪美形、おフランス、ということで心配になったことは確かだ。
だがその時、確か安奈淳だったかがオスカル役をやっていて、おお、これならなかなか悪くないではないか、と思った。
その程度には一般的な興味があった。
この「ベルばら」は大評判になり、というか社会現象になり、それから宝塚の代表的演目になったのは周知のとおりだ。
ではあるが、私は宝塚にも興味がなかったので、もちろん宝塚「ベルばら」は見たことがない。
宝塚は特殊な演芸なので好悪が激しいと思う。
私などは敬遠するくちだった。
どうも二の足を踏んでしまう。
というより、興味を持てない。
それが、時はだいぶ経ってから、やはり確かNHKの衛星放送の番組だったと思う。
NHKは時々というか、結構宝塚の舞台を放送している。
その時も宝塚の特集をしていて、でも舞台ではなく、舞台裏というか、ラブシーンのやり方とか、そんなことをジェンヌさんたちがいろいろしゃべっている番組だった。
その時、「ベルばら」の、オスカルとアンドレのラブシーンをこういう感じで…という話になり、そこを実演したりしていた。
私は見るともなくその番組を見ていたのだったが、その時、ほおー、と思ったのだ。
宝塚のラブシーンは様式である。
現実のものではない。
いかに現実ではないものをひたすら美しく見せるか、に心を砕いている。
その時見た、オスカルとアンドレのラブシーンは美しく、エレガントで様式美にあふれていた。
私は宝塚をちょっと見直し、いいなあ…、と思ったのだった。
だからと言って宝塚にはまったわけでもなく、夢中になったわけでもなく、それだけのことで忘れてしまった。
それから何十年?が経ったろうか。
今年の宝塚百周年を記念して、NHKが「ベルばら」特集を組んだのだ。
しかも総合放送で。
そういうわけで、この2014年、私はやっと宝塚の「ベルばら」を全編見る機会を得、そのストーリー全体をようやく把握し、こういう結末だったかと知ったわけなのだった。
「オスカル編」でアンドレが何もしていないとか、最後なぜアンドレだけが橋の上にいるのかなど、突っ込みたいところもあるにはあったが、とにかく「ベルばら」の全貌を知ることが出来た。
まあもちろん漫画と宝塚では解釈も違うだろうし、漫画を忠実に再現しているわけでもないだろうけれど、今さら漫画を読みたいとも思わないし、私はこれでともあれ「ベルばら」世界を完全に把握できたと思った。
で、宝塚の「ベルばら」である。
話がサクサク進む。
歌舞伎と違うのだ。
本編が最初にあって、劇の後にラインダンスなど踊りなんかが続く。
はじめそれが不思議だったが、それが宝塚なのだろう。
場面転換はスムーズで、それにもストレスがない。
「ベルばら」はいろんなバージョンがあるらしく、「アンドレとオスカル編」「オスカル編」などを見た。
社けあき、一路真輝、涼風真世、天海祐希などがそれぞれタイトルロールを演じる豪華版。
典型的なヅカメイクとブロンドのゴージャスなヅラ、きりりとした衣装、 豪華な衣装を着た貴婦人たちが歌い踊るフランス宮廷の様子、
これはもうオスカルがそこに立って動き、しゃべり、歌い、剣を交える。
それだけでもういいのではないか。
そんな風に思う宝塚の面目が思い切り躍如した舞台である。
素晴らしい。
おばさんはそんな風に思い、オスカルとアンドレのラブシーンにうっとりするのだった。
ただ展開が早すぎて、一つ一つの場面に余韻にふけっている暇がない。
とくに二人の死の場面に関しては、転換が早すぎた。
歌舞伎なんかは引っ張るでえ。そらとことんにさー。
原作漫画ではどうなっているのだろう。
でも漫画はどうでもいいや。
宝塚とは全く別のもの、宝塚の「動いている」オスカルやアンドレに感動していればいいのだ。
ということで、今になってからでも、現在の時点で「ベルばら」を楽しめたのは本当にラッキーだったと言える。
今回のは1989年と91年のものの収録ということで、もっと別の時代の「ベルばら」も見たくなった。
だけど、こんな風に毎週「ベルばら」全編を見られるということが贅沢なのだ。
これ以上望んだら望みすぎというものだろう。
でも宝塚劇場に足を運ぶほどには嵌ってないので、今回の宝塚百周年の記念の「ベルばら」を衛星放送ででも放送してくれれば大変ありがたいのだが。
NHKよ、頼みます。見たいよー。
固有名詞が間違っているかもしれません。よく分からないのですみません。

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