X Japan のToshlの「洗脳」という本を読んだ。
12年もの間洗脳され、ようやくそこから逃れ、その一部始終を書いた本だ。
私はX Japanのファンだったわけではない。
この長い間やってるHPでいつか書いたこともあるけれど、ヒデのお葬式の時、ワイドショーで見た「フォーエバー・ラブ」を歌うToshiの姿に言いようのない切なさを感じ、それで彼に興味を持つようになったのだった。
ライブに行ったこともある。
その時ちょうどやっていた葉加瀬太郎とのコラボだった。
でも、この本によるとその時(ヒデのお葬式の時も)すでにホーム・オブ・ハートとMasayaに洗脳されていたのだった。
それはショックだった。
複雑な気持ちだ。
体を折り曲げて痛々しく歌っていたヒデのお葬式、あの姿にどうしようもなく感動して私はToshiに否応なしに惹かれたのだ。
あれは、いったい何だったんだろう。
お葬式の朝も、Masayaに罵倒と暴力という名のセミナーを受けていたのだという。
そして私がToshiのライブを見てからほんの間もなくして、マスコミにToshiの洗脳騒動が報道された。
彼はMasayaの歌を歌い、そしてレコード会社をレムリアレコード(Masayaのレコード会社)に移籍したとき、これはもう駄目だなと思ったことを覚えている。
本によると、強制的にレコード会社を移籍させられたようだ。
X Japanが再結成されたとき、私はToshiの洗脳が解けていたんだなと解釈した。
本によるとそれも違った。
再結成でToshiに入ってきたお金はすべてMasayaに吸い取られたのだという。
何という、気の毒な人だろう。そして哀れで、愚かな人だった。
こんないい加減な、あざとい、無慈悲な集団に、12年も信じて身を捧げてきたとは。
それでもそこから逃れ、戻って来られたことは本当によかった。
最後の方になると、Masayaのホーム・オブ・ハートがToshiの稼いで来るお金だけが目当ての醜悪な集団であることが露見してくる。
そのあたりのToshiの筆はこびは冷静で、かえって彼らの残酷さが浮かび上がって来る。
私はX Japanのことが、知ってはいたけれど別に好きではなかったし、ヒデのことなどはお葬式で初めて彼の存在を知ったような人間だ。
Yoshikiのことは好きではなかった。
でもToshiはいつもどこかで心に引っ掛かる存在だった。
だからX Japanの曲を聴き、曲を覚え、カラオケで歌ったりした。
X Japanはバンドとして見事なグループだと思う。
今回のことは、Toshiの自業自得だ。
だけれども、彼が洗脳を受けるきっかけとなったのは、X Japanで苦悩し、どん底の状態だったからだろう。
何かに救いを求めて、そうして地獄にはまったのだ。
レコード会社を移籍した時、私は彼はもう向こうに行ってしまったと解釈し、そして忘れようとした。
でもどこかで引っかかっていた。
彼はまじめで純粋な人なのだろう。
だからこそこんな地獄に引きずられてしまった。
悲しい、哀れな、寂しい人間だ。
それでも彼は帰って来た。
そして、ホーム・オブハートと戦う。
何年か前の記者会見のことは、私もワイドショーなどで見た。
破産し、妻と離婚したことなどを語っていた。
今やっと心の整理がついたのだろうか。
この本を書いて、洗脳のことを客観的に見ることが出来るようになったのだろうか。
テレビの「金スマ」も見た。
相変わらず淡々と語るToshi、そして弾き語りの「Forever Love」が美しかった。
12年を丸々無駄にしたというが、それでもまだ遅くはない。
「Forever Love」は美しかったし声も昔のまま、きれいな高音だった。
これからは心を強く持って、堂々と生きていってほしい。
それにしてもMasayaと元妻、守谷香は許せない。鬼だと思う。

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