スケート大会が終わればまた自分のペースに戻り、
好きな美術展のことでも書けるかと思っていたが、
予想以上にまだずっと引きずっておるのだ…。
鮮烈な羽生選手のフリーのボロボロ演技に、
的確な言葉ではないかもしれないが
ある意味、酔っているのかもしれない…
無残な演技を何度も繰り返し見ている自分がいるのだ…
自分の中である程度消化してしまわないと
次へ進めない気もするので、
書きたいことをここであらいざらい吐き出してしまおうかとも思う…。
今朝の新聞に棄権を検討したほどの状態だったと書いてあった。
それでも棄権出来なかったのは、カナダに来る沢山のファン、
マスコミ、テレビとの契約、などなどで
棄権するわけにはいかないということだったのだと思う。
フリーは、難度を下げた構成での練習を殆んど出来ていなかった、
ということもあったとは思うが
その前に一週間ほど練習を出来ていなかったとも書いてあった。
そんな状態でも棄権が出来ない、
そんな立場にあるのが羽生選手なのだと思った。
オーサーコーチは確か、彼を責任感の強い子だと言っていた
ような気がする。
はじめに、膝を痛め、難度を下げて、とコーチの発表があった。
オーサーコーチとしては最初は棄権をすすめたのだと思う。
けれども「責任感の強い」羽生選手は、テレビ放送や取材もあり、
ファンも大挙し、切符も売り切れ、その「責任感」から
棄権する頭はなかっただろう。
そこでコーチは妥協策として、難度を下げて出場する提案をした。
羽生選手は頑固だから、言っても聞かないと思ったのだろう。
オーサーコーチとしては、大事を取って棄権させたかったと思う。
練習のしすぎと報道されたのは、
4回転ルッツの練習のしすぎだろうと誰かが言っていた。
多分その通りだと思う。
どこかは忘れたが、どこかのインタビューで、羽生選手が
ルッツは飛べるけれど、プログラムに入れる予定はない、
と言っていたような気がする。
この時少し不思議だと思った。
ライバルへのフカシかとも思ったが…。
ルッツが飛べるなら、プロに入れてもいいのではないか…、
入れないというのは、まだ完成していないからではないか…、
その後若手がどんどん新しいジャンプを成功させているのを知って、
焦りもあったと思う。
そこで羽生選手はルッツに本格的に取り組み、
それで練習のしすぎになり、ひざを痛めた…
羽生選手はこれまでひとつの4回転をすぐに習得出来てきた
わけではなかったと思う。
あまりそこらへんは詳しくはないが、
何年もかけて、ひとつの技を習得して来たように思う。
それを急ピッチで仕上げようとして、怪我につながってしまった。
オータムの初めのルッツの失敗は、
私は4回転ルッツをやろうとしたのではないかと
最初推測したが、
そうではなく、
4回転ばかりを練習していたので、
3回転のタイミングがはかれなかったのではという意見に
なるほどと思った。
その方が整合性がつく。
多分そういうことだろう。
そして皮肉にも、難度を下げたショートで、
得点を伸ばした。
結果として、
高難度を追求しなくても得点を得られるという
皮肉な事実になった。
これを羽生陣営はどうとらえるだろう。
羽生選手の膝は、多分ショートでより悪化したのだと思う。
こういう切羽詰まった状態の時、
なぜか彼は妙な力を発揮して、ショートではよい結果を
出してしまうのだ。
多分アドレナリンなんかが出て来て夢中になってしまうからではないか。
そしてショートで頑張りすぎて、膝の具合が悪化したかと思う。
フリーでの、難度を抑えたはじめに3回転を2回、
という構成が慣れていなかったこともあるだろうが、
羽生選手は、こういう時でも
守りに入れば力を発揮出来ない選手なのだと思った。
彼はどんな時でも攻めて、攻め抜くことが彼の最大の持ち味なのだろう。
攻めることが最大の防御、
つくづく戦国武将のような性格なのだと感じた。
フリーの前半は3回転ということに不満を抱えていて、
彼自身が納得いかないまま攻め切れなかった。
でも、後半はさんざん練習して来た構成だったはず。
それを失敗したのは、
中途半端な集中が切れた気持ちもあっただろうが、
彼の得意であるはずの3Aまで失敗してしまったのは、
やはり足のふんばりがきかない状態になっていたからだと思う。
(4サルコウを試そうと思っていたという情報もあった。
考えながら演技をして集中しきれなかったのかもしれない)
ボストンのことをふまえて考えれば、
最低の安静は必要な状態と考える。
グランプリシリーズは、スキップでいいのではないかとさえ思う。
けれども羽生選手は多分それはしないだろう。
彼の出る試合は売り切れ、テレビ取材も入り、
となると彼が棄権することは考えられない。
こういう事態(棄権したくない)を作ったのは羽生選手の責任で、
彼の自業自得だと思う。
責任感とやらで、彼はどの試合も出る方向だろう。
その結果、怪我は治らないまま、
思うように結果を出せないことにもつながる。
けれども、
それが彼の決めたやり方で、
それらのこと(不測の事態や事故など、そしてテレビや
ファンに対する責任感など)もふまえつつ、
そういうやり方を選択したのだから、
それが羽生選手の戦い方、彼のやり方ということなのだろう。
その困難を知りつつ、
そのうえで彼は五輪連覇を目指す、ということなのだろう。
それは羽生選手の「自己責任」なのだから、
こちらがとやかく言うことではないのだろう。
インタビューでしっかり練習する、と言っていたけれど、
今は練習することよりも、治療や休むことを優先する方が先だと思う。
彼はとても強い子なので、これくらいのことではめげないだろう。
何度もそうやって這い上がって来た。
膝が良くならなくても、
だましつつ、このシーズンを戦い抜くような気がする。
そして彼はとても明るい子なので、もう前を向いて、
「ケガしても治るから。」
きっと明るく笑っているだろう。

60