*グランプリシリーズ・ヘルシンキ大会が始まりますので*
プルシェンコの代表作を「Origin」として再生
newscom
https://www.newscom.com/nc/clearOpenSearch.action
はじめに、私はプルシェンコについて、かなり忘れてしまっていて、
覚えているのはトリノのトスカ、ゴッドファーザーくらいだ。
バンクーバーも忘れてしまっているし、ソルトレイクのやけくそカルメン(?)
すら覚えていない。
ニジンスキーに捧ぐに至っては、見た覚えもない。
今年、羽生結弦凱旋ショー、Continues with Wingsで演じるまで、まったく知らなかった。
非常に情けない。
いや、でもプルに関しては、そのくらいの自分の関心なのだろうから、しようがない。
私はスケオタでもフィギュアスケート・ファンでも何でもない、ただの単なるミーハーで野次馬だから。
(フィギュアスケート自体に関しても、みなこのくらいの関心なのだ。
活躍期間が終われば忘れてしまう、プロスケーターとして復活して来たら、また見る、
でもいちいちプログラム内容までは覚えられない、
という情けないスタンス、
(これはまあ、自分が年を取って、記憶力も減退しているからだろう)
ただ自分の記憶として、プルシェンコは
はじめに見た時、この少年こそ天才だ!
というのはあった。
クワドを入れて、しかもコンビネーションで、なおかつプロをまったくミスする気配がない。
いつも、どこでもノーミス、
そんなイメージが出来ていた。
プロそのものは覚えていないが。
さて、羽生結弦選手がプルシェンコについて語ったことで興味深いことは、
その前に、羽生選手は、つねにプルとジョニー・ウィアーが憧れの選手であると表明していた。
ジョニー・ウィアーについては、この前書いたように、
羽生選手が彼のどこに憧れ、影響を受けたかをカタコトながら書いてみた。
羽生選手はノービスのころから(二人に)憧れていたそうだ。
(そう語っている映像も残っている)
そして、ウィアーとプルシェンコを足して割ったような選手になりたい、
と思っていたようだ。
ウィアーに憧れた理由としては、前に書いたように、流れのある演技(着氷)、
柔らかい表現、男性による美しさ、
などだったと思うが、
ということは、プルシェンコについては、それらは感じなかったということだろう。
では、羽生選手にとっては、プルシェンコのどこがよかったのだろうか。
バンクーバー・オリンピックについて、羽生選手はインタビューで、
こう語っている━
「やっぱり僕にも『男子は4回転を跳んだ方が上!』という気持はあります。
でもバンクーバー・オリンピックを見ていたら、あの結果には納得できたんですよ。
エヴァン(・ライサチェック)は4回転を跳ばなかったけれど、
ジャンプのほとんどが加点のつくものだったし、
僕とは違ってフリップジャンプもちゃんとインサイドで跳んでいた。
それにあの試合に限って言えば、やはりエヴァンの演技が気持ちがよかったし、
4回転の無い演技としてすべてが完成されていた、と思うんです。
一方でプルシェンコ選手は、ちょっと苦しいジャンプが続いてしまって、
4回転も加点の付きにくいジャンプだった・・・・。
だから4回転を跳んでもそれほど評価は上がらなかったことは、理解できます。
バンクーバーはそんな結果で、4回転を跳ぶことはそれほど評価されなかった、
と言えるかもしれません」
これは2010年のインタビューだそうだ。
(「蒼い炎」より)
さすがスケオタ、少年とはいえ冷静な見方をしている。
自分のフリップがエラー気味だということも、しっかり把握して語っている。
あの時、(演技は忘れてしまったが)
プルが4回転を跳んだのに、なぜ優勝しなかったのか、
と私だけが思ったのではなく、
さんざんファンたちから言われていたと思う。
プルシェンコ自身も不満気で、表彰式の時、表彰台の一位を跨いだくらいだ。
(ああいうところが、プルらしいとは思うが、あれはちょっとな…とはちらっと思った)
(でもスケート選手というのは、えてしてああいう人が多い)
(演技は忘れていても、こういうことは覚えているのだ)
(要するに野次馬だから)
ええい脱線が多い
ともあれ、羽生少年は、
たとえプルシェンコが好きとは言っても、見方はとても冷静だ。
好きな選手に対しては、どうしても贔屓目が入るものなのに、この冷静さ。
昨今の贔屓の引き倒しのファンに爪の垢を煎じて……(略
模範的なスケオタだ。
(自分が言うのもアレだが)
実際にスケート選手だからこその発言だろう。
それはさておき、
羽生少年がライサチェックの演技の「気持ちよさ」を評価していることが注目に値する。
羽生選手にとっては、「気持ちよさ」が、
フィギュアスケート演技の最良ということでないだろうか。
完成されているから、気持ちよく感じられる。
少年のころから、完成度の高い演技が気持ちのよい演技で、
彼はそれを目指していた、ということだろう。
加点のつくジャンプ、そしてエラーのない正しいジャンプ、
それが理想的で、見ていて気持ちが良い。
だからそれを目指したい、らしいことも、
このころから考えていた感じがあるインタ内容だ。
ちなみに、このインタビューの次の言葉は、
「でも、ソチではきっと違う。
4回転を跳んで、さらにエヴァンみたいな演技をしなければ、勝てないと思う!」
もう、まったく未来の4回転時代(の理想)を予見している。
なんと頭の良い子だろうか!
それはさておき(が多い)
プルシェンコに憧れたことについて、羽生選手が言っていることは、
有名だが、ソルトレイクのヤグプル対決を見てからだと。
7歳の時、ソルトレイク・オリンピックをテレビで見て、
「元同門選手同士の優勝争いは死闘と言えるものでした」
(CwWパンフより)
7歳の羽生結弦少年が見たものは、フィギュアスケートが、
まさにスポーツ、それもプロレスや格闘技のような激しい戦いのようだったこと。
プルシェンコが4-3-2を決めると、
ヤグディンもそれに追いつけとばかり、プライドを捨てて4-3-2を習得。
するとプルは4-3-3に挑む。
まさに4回転をめぐる死闘。
ここからは私の想像になるが、
この二人の火花の散る戦いこそが、真剣勝負の面白さだと気がついた。
優雅に見えるフィギュアスケートが、このような限界に挑む闘志を剥き出しにした、
激しい戦いの場だったこと、その面白さの虜になったのではないだろうか。
こちらにヤグプルに関する、ちょっとした経緯を書いてるが…
http://isabea.web.fc2.com/figure2/fgr02.htm
(ソルトレイクについてのかつての見解があって、ひどい文だが我ながらちょっと興味深い)
また、当時、五十嵐文雄が語っていること
「ある意味天才的なプルシェンコに勝つにはどうしたらいいのかを、
ヤグディンが必死に考えて、それを身に付けて来たのだと思います」
(ワールドフィギュアスケート 7号 2002年4月より)

(なぜこれを持っているかというと、アニシナ・ペイゼラが出ていたから)
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要するに、羽生結弦にとって、プルシェンコは、闘うヒーローだったのではないだろうか。
プルの演技スタイルがどうのというより、プルの演技に影響を受けたというよりは、
プルシェンコはフィギュアスケートの面白さを体現するヒーローだった。
もちろん、4回転の確実さ、つねに高難度構成でノーミスを連発する圧倒的な技術、
にも憧れたことだろう。
プルシェンコのオーラとカリスマ性、なども憧れる一因だったと思う。
羽生結弦にとっては、プルは、演技云々というよりは、
そういった圧倒的な存在感と、カッコいいカリスマ的ヒーローとしての
情緒的な憧れだったように思う。
プルシェンコのソルトレイクでの演技には、こういう意見もあった。
「日本の杉田秀男ジャッジは『ヤグディンの滑りには、全体に大きな流れがある。
プルシェンコは1つ1つの技は素晴らしいが、プログラムがぶつぎれ。
アマチュアよりもショー向けだと思う』と語った」
(前掲 ワールドフィギュアスケート7号より)
このテキストを書いたのは、悪名高い(?)田村明子であるが…、
(プルの演技はお気に召さなかったようだ…フフ)
(わざわざネガティブな意見を探し出して書くのだから…)
しかし、確かに、プルシェンコの演技は、生で見ても、わりと止まる時も多い。
流れという面では、あまりない、のかもしれない。
それは、羽生結弦も感じている部分ではなかっただろうか。
だからこそ、一方で流れのある演技のジョニー・ウィアーに憧れた、
と言えるのではないだろうか、と思うのだ。
羽生結弦は体型からして、プルシェンコとは違い、
プルを尊敬こそすれ、彼の真似はしたくても出来ない。
また、プルの欠点を誰よりも知るのは、彼、羽生選手そのものだとも思う。
それでも確率の高い4回転、ノーミスを続ける技術力、
そして怪我をしても何度も立ち上がる執念、
(ソルトレイクの時も怪我をしていたとか)、
その精神力などが、羽生選手にとって、受け継ぎたいものではないだろうか。
憧れる対象を真似る、まねびを、私は悪いことだとは思わない。
むしろ、真似ることによって、自分と対象との違いを発見し、
自分なりのものを作ってゆける、自分を知ることが出来る。
そのために真似ることは、まず大事だと思う。
そのようにして、羽生結弦選手は、プルシェンコの強さと、
ジョニー・ウィアーの演技の美しさ、
その両立を目指した。
強く、美しく結実したと思う。

うぬ…適当な写真が探せなかった
ここら辺りで…
どこの画像か分かりません…が借りました
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ではそろそろヘルシンキ大会も近づいて来たので、
自分も羽生関連が増えそうです(汗
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