ハアハア…暑い…
フウフウ…毎日暑い…しんどい…
ずーっと暑いままで、39度って…もう大変なんですから
しかしマイペースで…何とか
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つづけて萬斎氏の出演したテレビ番組について━
野村萬斎といえば、「陰陽師」のイメージが大きすぎて、呪縛され…、と前回書いたが、
映画「のぼうの城」でも、良い演技をしていた。
映画がもう少しエンターテインメント性に徹していたら、もっと良かったのにとも思った。
せっかくヒット小説の映画化なのだから、持って回った表現より、
面白おかしく、娯楽性に徹した作品だったらと、ちょっと残念な感じもあった。
クライマックスの萬斎氏の踊りのみに頼ってしまったような気がしたものだ。
それより、野村萬斎と言えば誰も知らないと思うが、
NHKの連続時代劇ドラマ「鞍馬天狗」に主演したことがある。
(いつだったか忘れた(>_<))←2008年らしい
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/kuramatengu/
(サイトも生きていた!)
この「鞍馬天狗」がとんでもなくカッコよかったのだ。
あまり知られていないのが、悔しいくらいだ。
自分はこの作品こそが野村萬斎の映像上での代表作であると信じて疑っていない。
京都の太秦で撮影され、もと大映の美術監督、西岡善信が美術を担当した。
敬愛する大映の、京都が誇る偉大な美術監督だ。
そのおかげで、見事なセットデザインで、テレビというのに、本格的な作りだった。
忘れられてしまっているのが、実に残念だ。
原作はもちろん言わずと知れた大佛次郎の「鞍馬天狗」。
往年の時代劇小説の定番のヒーロー物。(角兵衛獅子)
嵐寛寿郎をはじめとして、映画全盛期、時代劇映画が全盛の時、
日本の代表的な時代劇スターが代々演じて来た。
(というか、殆どがアラカンなのだが…)
市川雷蔵も、大映の長谷川一夫に次ぐ時代劇スターとして売り出して、
鞍馬天狗を演じていた。
もしかしたら、その雷蔵の鞍馬天狗に、勝るとも劣らないと思ったのが、
野村萬斎の鞍馬天狗だった。

(NHKからお借りしました)
(徳井勇もいい味出していた)
鞍馬天狗は普段は倉田典膳と名乗っており、周囲の誰も、彼が天狗だとは知らされていない。
勤王の志士であるので、鞍馬天狗の場合、新選組は悪役である。
NHKのテレビドラマは計8回、悪役(敵役)としての近藤勇は緒方直人。
凄みのある怪演で、こちらも近藤役を完璧にこなして、カッコ良かった。
(今はどうしてるのだろう)
もっとも素晴らしかったのが、8回目の最終回。
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/kuramatengu/html_krm_story08.html
倉田典膳が倒幕にくみする者たちの名を連ねた「暗殺人別帳」を手に入れるため、
単身で大坂城に入り、大坂城代に面会するが、その名の中に鞍馬天狗の名を発見。
正体がばれ、城代の無数の家来・武士たちに追われ、たった一人で拳銃で応戦するが、
やがて手傷を負って、米蔵に逃げ込む。
米蔵に追い詰めた家来たちにより、再び傷を負い、絶体絶命に追い詰められる。
しかし米を食いつないで、降参しようとしない。
相手はたった一人なのに、追い詰めきれず、やきもきする城代。
新選組の手を借りようとして、近藤勇に連絡する。
すると近藤は、相手は一人なので、自分一人で行く、
一対一で対決するのが武士だと言い張り、一人で大坂へ出向く。
京で天狗の消息を心配していた杉作や、(典膳の恋人?)の白菊が近藤の後を追い、
途中の山中で近藤に追いつき、杉作が、近藤に、
「ひきょうもの!」と涙ながらに、訴える。
たじろぐ近藤に、
「だってそうじゃないか。天狗のおじちゃんは手傷を負って、死にかけてるんだ!
そんな天狗のおじちゃんを斬るなんて、武士じゃない!!」(大意)
…この杉作を演じた子役も上手かったなあ…。
思わずこちらも引き付けられて、泣きそうになった。
やがて近藤が、大坂城に到着、
米蔵に瀕死の状態でいる天狗(典膳)に呼びかける。
ぴんと張り詰めた周囲。
近藤が意外なことを言いだす。
おぬしは今傷を負って普通に対決出来る状態ではない。
養生して、傷が治ったなら、改めてしかじかの所で対決しようぞ。
今は何も手出しをせぬから、蔵から安心して出て来るがよい。
(ざわめく城代とその一味。何ということを言いだすのかという雰囲気)
敵役ながらあっぱれな近藤。
…その呼びかけに、やがて刀を杖にして、よろめきながら、
米蔵から出て来る鞍馬天狗…、と思いきや、それは倉田典膳。
はっとする近藤、
そして杉作、白菊。
そうか、天狗は典膳だったのか…。
この時、頭から血を流し、よろめきながらの、瀕死の状態の野村萬斎の美しさよ。
一瞬太陽を見上げるショットの血だらけの野村の何とも言えない表情。
思わずぞくぞくした。
好きだわー、ここ。
血にまみれ、弱り果てた侍の姿…、こんなに美しいものかと、
倒錯的な気持ちになったあの日(笑)。
いやあ、私の趣味って変わりませんねぇ〜
(ここで中国杯を連想しちゃ駄目よん…でも連想しちゃう)
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萬斎氏の欠点と言えば、底抜けの明るさかもしれない。
軽みと言えばいいか。
陰陽師・安倍晴明でも、少し人を食ったような明るさがあったと思う。
それは萬斎の育ちの良さから来るものではないかと、考えている。
市川雷蔵はその出生に複雑なものがあったためか、
スクリーンでは独特の翳りが現れていたように思う。
その何とも言えない昏さが雷蔵の魅力でもあった。
萬斎にはその翳りは見られない、その軽みに物足りなさも感じないではない。
むろん映画専門の俳優ではないため、あくまでも映像上のことではあるが。
しかしそれを差し引いても、俳優としても、雷蔵の個性に匹敵する魅力があると、
自分は思う。
頭は大きいけどねゲフン
ちなみに、「鞍馬天狗」の最後の近藤との決闘。
夜闇の寺院の境内での一騎打ち。
ここは大覚寺か天龍寺かぁーっ(クレジットでは西教寺と書かれていた)
互いに傷を負わせ、傷み分け。
「また会おう」
白馬にひらりと跨って、去ってゆく頭巾をかぶった鞍馬天狗。
超カッコいいーーー!しびれるーーー
叫びまくった幕切れであった。
売ってるんや…7822円 高いけど
市川雷蔵 新鞍馬天狗 2000円
のぼうの城 ブルーレイ2565円
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