10日程前から、玄関にある矢車菊
ヤグルマソウと言ったほうが、私は耳慣れているのだけれど
矢車草という違う花と区別するために
ヤグルマギクと呼ばれているらしい
いつものように、ノアールとお散歩中
野菜の直販所の入り口のバケツで束にして売られていた
これ全部で200円也・・
片手の掌で掴みきれない程の量でしかも長持ち・・
次々に開花して、今は更に7割方の花が咲いている
これは濃いピンクだけれど、ブルーの矢車菊はもっと綺麗・・
大人になってからは、殆ど関心の無い花だったのに
幼い頃の庭にいつも咲いていた花のせいか
ここ数年、何故かまた気になっている
この花を見ると、10年も前に住んでいた町の
ある家を思い出すのだ
家の前に細い用水路が流れているので
道路から門扉への流れの上に、
小さな木の橋が渡されている
門扉の脇にはプランターが並べてあり
いつも青や薄青や、ピンクや白の矢車菊の花が咲いていた
イメージでは、いつもいつも一年中
咲いているようなイメージを持っていたけれど
毎年この季節に咲く花の印象が強かったせいなのだろう
傍らで、衿のついた綿のブラウスに
長いギャザースカートとサロンエプロンを合わせ
長い髪を後ろで束ねた、細くて背の高い初老の奥さんが
いつも花の手入れをしていた
楚々とした風のようなイメージで
その人が、まるで矢車菊のようだった・・・
いつも通勤途中、あるいは休日の買物帰り
その家よりも手前の、広い道路から何気に見かけた光景で
本当は奥さんの顔自体も、元々定かでないのだけれど
今も何故か妙に印象深い
この花を見ると、初夏の涼やかな風が通り過ぎていく

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