今、ダンスの舞台用のコートを製作中
画像の試作見本が完成し
同じものを、あと、5枚作ります
ベロアの2ウェイニットなので
ミシン、作業台、部屋の中、至る所に
この青い繊維の粉が飛び散っています・・・
そんな訳で、オーダー頂戴しているお客様
これらを全て終了してからの
取り掛かりになりますが、
ご了承どうかよろしくお願いいたします
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洋裁や編物など、手作りの仕事をゆったりと
優雅な物と思っていらっしゃる方がいるかもしれない
勿論、ゆったりとエレガントに
3時の紅茶などを頂きながら
手作業を進めることの出来る人だって
中にはいらっしゃるかもしれない
しかし、私の場合・・・
そんな情景は残念ながら、ほとんど皆無なのである・・・
時間に追われているときは
ゆっくり食事をとるのも、もどかしい
それに食べているだけでは勿体無いので
たいていは、左手にオニギリか、パンを持ち
右手でメールのチェックや返事
H・Pの更新をしているのである
会社にいるときもそうだった
食物屋で並ぶのが嫌なので、5分ほど早く外に出て
立て込む前にさっさとウドンなどを食べ
余裕のあるときは本屋にも行ったりしたが
多忙時は、部屋に戻り、身支度を整えた後
また、デスクに向かって仕事をした
大体が【せっかち】関西で言うところの【イラチ】
というやつなのだろう
良いように言えば【丑年】の女は
基本的に【働き者】だともいえるかもしれないが・・・
私が編物をする姿を見て
コワイ・・・という友達がいた
何故なら、喋りながら、笑いながら
しかし、手だけはカタキのように
すごいスピードで動いているからだ
その子は編物をしない
故に、編物とは
ゆったりと優雅な物と思っていたらしい
私はわりと、編む手が早いほうなので
特にそう感じたのかもしれないが
ニットの貴公子、広瀬光治先生の編む姿を拝見して
『ほら、やっぱりそうじゃないの・・・』と思った
やはりめちゃくちゃ早いのである
それに、編物をしている人というのは
たいてい頭の中で数を数えているものだ
喋っていようが、笑っていようが
どこか頭の片隅で、今編んでいる目数を計算している
これも経験のない方にはコワイかもしれないが
そういうものなのだ
手先を動かすとボケにくいというが
編物はこれらを考慮すると
かなりボケ防止に役立つかもしれない
洋裁も、例えばこのコート
生地自体が重い上
舞台用なので衿先がピンと立つように
かなり何層にも、硬い芯を入れている
裾周りのフレアーは3m以上ある
ニットなのでダレないように
身頃にも至る所に芯を貼り
硬い生地を裏打ちしている
多分2キロ以上はあると思う
これを『振り回しながら』製作するのである
社交ダンスのドレスなども同じことで
お客様に、安達祐実を大人にしたような
小柄な方がいらっしゃるが
舞台で大きく見せるため【ボリューム】を
口癖のように要求される
通常の3倍は裾幅を取ったドレスやペチコート
ドレスにもペチにも、裾にはテグスを入れるのだが
これも釣具屋さんにしか置いていない太いものを
2重にするので、出来上がった作品は
4キロ以上にはなっていたと思う
『もし衣装に振り回されて倒れでもしたらどうするんだ』
と、か細い体を懸念しながらレッスン会場に行くと
何度もターンした姿の優雅なこと・・・
『さすが!!』と拍手したくなるほど美しかった
『まるで水鳥の如くだわ』と感心した
しかし、製作の大変さも、かなり想像を絶してしまう
汗と、繊維の粉と、糸屑と、何本も折れる針と
限られた納期と、仕上がりのプレッシャーと
他のオーダー、そして家事などとの兼ね合いなど
諸々のモノたちとの、体力と気力の戦いなのである
こういうことをしていると
ちょうど、昔、コンテストに出品していた頃を思い出す
デザイン画の選考に通過後
作品の提出は、たいていが9月の初旬だった
暑い夏、風呂もクーラーも付いていない4畳半の
狭いアパートの部屋の中で、汗まみれになりながら
それこそ重い、モデル用の服を作ったものだ
これも大体が冬物だった
夏真っ盛りに、毛糸やウールや、ポリエステルの中綿など
毛羽立ったものを扱うのは辛かった
コンテストを、3つくらい掛け持ちしていたときは
本当に寝る時間などなく、約1ヶ月間、毎日徹夜か
2時間位の睡眠で、夕方アルバイトから帰るなり
作品作りに没頭し
明けがた、作りかけの作品の横に転がって仮眠を取った
ときには、階下の婆さんに叱られたりもした
銀行時代の同僚が、訪ねてくれたときも
ちょうどそんな時期だった
『せっかくだけど相手はできないから・・』と断ると
『いいからいいから・・・』と言いつつも
『ちゃんと食べてる?』『ちゃんと寝てる?』
『もう!こんなに埃が!』と
人差し指の腹で、綿屑を拭い
『・・・ったく・・・
なんて生活をしているんだか・・!』と言いながら
せっせと一人で食事の買出しと掃除をして
一緒に部屋の隅っこに寝転んで
朝まで付き合って帰って行った
『体、大事にね・・』と、言い残して・・・
まるで『お母ちゃん』のように良い人だった
それでも、そんな生活が嫌じゃなかったのは
夢と希望に燃えていたからだ
今でもやってることは大して変わらない
こんな生活でも、嫌だと思わないのは
やはりこの仕事が好きなのだろう
クーラー&風呂付きの一軒家にいるだけでも
ありがたいと思わなければ・・・
こんなことを言っていること事態
エレガントとは程遠い
実はこんな人間なのである
しかし、仕上がるものが
エレガントで夢のあるものであれば・・・
と思いながら作っている
先日、息子さんの結婚相手のご家族との
会食に着てゆく服をオーダーしたい・・・
というご依頼があった
7号なので既成の服は大抵が大きい
期日も迫っていることだし
デザインもシンプルでよいので
仮縫いはいらないとおっしゃる
さっそくイメージされている生地を探し
採寸したサイズで
イメージされていたデザインを
ぶっつけ本番で作ることになった
ニットなのである程度、融通は利くし
体形もすっきりした方なので
それほど難しいご注文ではない
がしかし、初めてのお客様なので多少の不安はある
今日それが出来上がり
土日は子供がいて騒がしいので
おうちの方へ納品に伺うことにした
話を聞いて興味を持たれた妹さんも来られていて
女3人、賑やか、かつ和やかな雰囲気の中
ご着用して頂く
服に合いそうなブーツを履いて2、3歩歩かれた瞬間
『姉ちゃん、いいやん!』
の声
私も同じことを思ったので思わず拍手
お姉様、嬉しそうな笑みがこぼれた
服とは不思議だ
袖を通し、体を動かした瞬間に
初めてその人のものになる
洋服に携わって20年
この経験が長いのか短いのかの判断は微妙だが
お客様を拝見し
大体のご趣味などを伺っている数分に
大抵は 似合いそうな服がイメージできる
(自分のこととなるとさっぱり自身はないのだが・・・)
妹さんのお洋服と
もう一着お姉様の生地違いのご注文を頂いて
初めての納品は無事終了した
ここしばらくパソコン三昧の日が続き
ご注文をそのままにしていることに
かなり後ろめたい気がしていたのだが
今日は結構集中して仕事をした
土曜日に
可愛い小学2年生の女の子とお母様がご来店され
お友達とダンスの発表をするのだが
それが20日なのだそうだ
よくよく考えると結構日が迫っている
わりと特徴的にうちのお客様は
かなり日が迫っているか
いつでもいいからやっといて・・と
2、3シーズン先のまで持ってこられるか
どちらかが多い
さっそく何はともあれ掛からなくっちゃ・・と
さっそく型紙と生地を手に取った
小さい子の服は
じられないほどの小さなパーツの組み合わせで
こちょこちょやっているうちに
いつのまにかできてしまう
それに、うちには、女の子がいないから
何となく得をした気分になれる・・・
前に水玉ワンピースのお客様を
紹介してくださったIさんが
たくさんのリメイク服を持って来店された
もう10年も前の服、これは4、5年前の・・と
少し照れたように説明されていたが
長い人生において、就職、結婚、引越しなど
節目の時期が否応なく訪れて
人生の選択と共に持ち物の選択というものを
迫られる時期が来る
その何度かの厳しい選択の眼をクリアし
持ち主さんと共に長い時間をすごしてきた
もの言わぬ愛しい服たち
中には捨てられなかったけれど
一度も日の目を見ずひっそりと衣装箱の中で
自分の運命を待っていた服もいる・・・
また、捨てられなかった持ち主さんの気持ちもある・・・
そう思うと、たかがリメイクというような
簡単な気持ちにはなれない
実行するにはスピードと思い切りが肝心だ
でもその心構えは
決してあやふやなものであってはならない
鋏は持ち主さんと共に暮らした長い時間を
断ち切るために入れるのではない
これからの新しい時間を再生するため
まさに、人生をre・makeするために入れるのだから・・・
ちなみにこのリメイクは
ベストの前身ごろが前面スネーク柄で派手だったため
切り取って黒いニットの地色を多く出し
切り取った部分で、共布のバッグを作ったものです
シーチングの生地で、
水玉模様のワンピースの仮縫いをした
忙しいお仕事の合間をぬってご来店いただく
まだまだ暑いので
冷房中でも汗は引かず、お気の毒だ
体にほぼピッタリ
この段階がうまくいくと
仕事もスムーズに進んでゆく
裾をもっとランダムにカットし
動きを出してみることにした