凄惨な職場と言えば失礼か。
http://www.47news.jp/CN/200708/CN2007083001000303.html
>奈良県橿原市の妊婦(38)の受け入れ先が決まらず、搬送中の救急車が事故に遭った上、流産した問題で、最初に受け入れを要請された奈良県立医大病院に空きベッドがあったことが30日、分かった。2人の当直医は別の妊婦の診察に追われ、受け入れを断っていた。
県によると、救急隊員の最初の受け入れ要請は、29日午前2時55分。病院は1分前に別の妊婦を受け入れたため、当直医が事務員に「診察中なので後にしてほしい」と伝えた。
事務員が隊員に「手術になるかもしれない」と答えると電話は切れたという。もう1人の当直医は手術後の妊婦の対応に追われていた。
病院は隊員から再度要請されたが、別の妊婦が午前3時半ごろに破水して入院したため断った。5時半ごろにも分娩後に大量出血した患者を受け入れ、最終的には病院のベッド数23を超える24人を抱えていた。
病院は「ベッドが空いていたとしても医師は対応できなかった」と説明。県も「病院の対応はやむを得なかった」と話している。
病院側からの情報を見るとこの夜の(恐らくは毎日)過酷な労働状態が明らかです。
http://www.naramed-u.ac.jp/〜gyne/2007.08.28.html
>今般の妊婦救急搬送事案について
去る8月29日、救急搬送中の妊婦さんが不幸にも死産にいたりましたことについて、誠に遺憾に感じております。
今回の事案につきましては、マスコミを通じて、さまざまな報道がなされておりますが、当病院の産婦人科における8月28日から29日にかけての当直医師の勤務状況や当病院と救急隊とのやり取りについて調査しましたので、その結果を公表いたします。
平成19年8月28日の当直日誌記録より
(産婦人科当直者 2名)
時間 対応内容
8月28日(火) 夕方から抜粋
19:06 妊娠36週 前回帝王切開の患者が出血のため来院、診察後に帰宅
19:45 妊娠32週 妊娠高血圧のため救急患者が搬送され入院、重症管理中
09:00〜23:00 婦人科の癌の手術が終了したのが23:00、医師一人が術後の経過観察
23:30 妊娠高血圧患者が胎盤早期剥離となり緊急帝王切開にて手術室に入室
23:36〜00:08 緊急帝王切開手術
00:32 手術から帰室、医師一人が術後の処置・経過観察をする。重症のためその対応に朝まで追われる。妊婦の対応にもその都度応援する。当直外の1名の医師も重症患者の処置にあたり2:30ごろ帰宅
8月29日(水)
02:54 妊娠39週 陣痛のため妊婦A入院、処置
02:55 救急隊から1回目の電話が入る(医大事務当直より連絡があり当直医一人が事務に返事) 「お産の診察中で後にしてほしい」、そのあと4時頃まで連絡なし
03:32 妊娠40週 破水のため妊婦B入院、処置 (これで産科病棟満床となる)
04:00 開業医から分娩後の大量出血の連絡があり、搬送依頼あるが部屋がないため他の病棟に交渉
04:00頃 この直後に救急隊から2回目の電話が入る 「今、当直医が急患を送る先生と話しをしているので後で電話してほしい」旨、医大事務が説明したところ電話が切れた
05:30(病棟へ) 分娩後の大量出血患者を病棟に収容 (産科満床のため他の病棟で入院・処置)
05:55 妊婦Aの出産に立ち会う。その後も分娩後出血した患者の対応に追われる
08:30
当直者1名は外来など通常業務につく、もう1名は代務先の病院で24時間勤務につく
夜通し働き詰め、さらに翌朝も通常勤務。これで大学病院の医者の給料は決して高くありません。一方ではコンタクトレンズ診療所などは勤務も緩くて高給。現在の大学病院の医療は一部医師の使命感と努力によりようやく支えられている側面もあります。日本における医療の崩壊はそう遠い未来の話ではないでしょう。