あれっ?共同通信・・・ですよね。
http://www.47news.jp/47topics/premium/e/213113.php
>もう一月以上経ってしまったが、英王室のウィリアム王子とケイト・ミドルトンさん(今となっては「キャサリン妃」と言わなければならないか)との結婚式を中継で見ていて、ふと気がついたことがある。
ウェストミンスター寺院での式次第がとどこおりなく進んで、国歌斉唱、という場面になった時だ。列席者全員が立ち上がり、皆さん大きく口を開け、あるいはちいさく開けて斉唱を始めた。
テレビ中継では一番大きく口を開けていたのはエリザベス女王の夫君、フィリップ殿下のように見えた。
御歳90。もともとギリシャ王室の出身で、英王室に入って60余年。女王にとっては最も身近にいる臣下、ということになる。女王の傍らで背筋を伸ばし、頬を紅潮させて歌う姿は心を打つものがあった。
ギリシャ王室の出身とはいっても、殿下は民族文化的にギリシャ人というわけではない。19世紀にギリシャがオスマントルコから独立した際に、ドイツ・バイエルン王室から王を招いた。当時は共和制という考えがなかったのかもしれない。ドイツから招いて作ったギリシャ王室はしかし、2代か3代で血統が絶えてしまう。そこで今度はデンマーク王室から王が招かれた。フィリップ殿下はその血筋である。英王室に入るにあたってはカトリックから英国教会に改宗し、英国籍も取っている。
話が横道にそれてしまった。
ロイヤル・ウェディングをテレビ中継で見ていて気がついたこと、というのは国歌斉唱のとき、ただ1人口を開かなかった人がいた、ということである。
もうお分かりだろう。エリザベス女王ご自身だ。ひとり黙然と立って口を真一文字に結び、国歌斉唱に耳を傾けながら中空をみつめておいでだった。一瞬、違和感を感じた。でもすぐに、ああそういうことか、と納得した。
英国は君主国であり、国歌の歌詞は国民が女王(あるいは王)を讃え、神の加護を祈る内容なのである。「God save our gracious Queen(神よ、われらが慈悲深き女王陛下を守りたまえ)」。ソブリン(元首、統治者、人格化された国家)が自身に捧げられた歌を国民と歌うことはない。立場が異なるからだ。
フランスや米国のような共和制国家なら話は違うだろう。フランスは革命歌だ。「起て、祖国の子らよ」と自由と平等のために立ち上がれ、とアジっている。米国は建国の理念を象徴する星条旗を讃えている(「星条旗よ、永遠なれ」とは別)。どちらも大統領が普通に歌って違和感はない。もっとも大リーグなどの試合前に見られるように斉唱ではなくて、プロないしアマチュア歌手の独唱が多い。ドイツの場合はそもそも国歌を斉唱しない。戦前、「世界に冠たるドイツ」と誇り高く歌っていたが、戦後は近隣諸国に配慮して、というか自発的に反省して演奏だけにとどめている。
ひるがえってわが国である。
大阪府の橋下知事が率いる地域政党「大阪維新の会」の府議団が、学校の行事で君が代が流れる時には教員は起立・斉唱することを義務づける条例案を提出した。
日の丸は国旗、君が代は国歌、と定めた「国旗・国歌法」は1999年に成立している。筆者は、この問題は本来法律や条例の問題ではなく、礼儀作法の問題だと考えている。
公の場では自国のであれ、他国のであれ、国旗、国歌には敬意を払うべきだし、学校でもそう教えるべきだ。
しかし、不幸ないきさつがあって日の丸や君が代に嫌悪感を抱く人々は(ひところよりかなり減ったとはいえ)、まだ存在している。だからこそ法律で決められなければならなかったのだと思う。知事の考えでは、繰り返し起立・斉唱しない場合は氏名を公表し懲戒免職処分もありうる、と報じられている。
国旗、国歌をめぐる争いはいいかげん終わりにしてもらいたいものだ。