2021/1/18

「博士と狂人」2020米  今日の映画

 2020年見た映画を振り返る記事、今回はM・ギブソンが映画化を温めていたこの映画。原作のノンフィクション自体は結構前に読んでいて面白い話があるものだなあと思ったけど、結構事実を淡々と書いていて、これを映画化するとなるとどうなるだろうとも思っていた。

 他のM・ギブソン映画らしく、事実に忠実に、しかしエモーショナルに映画化されていた。

 オックスフォード大学が進めていた過去の用法の変化をも含む英語大辞典の編纂は、その膨大さゆえに暗礁に乗り上げていた。そこで、アカデミズム出身ではないが言語のエキスパートであるマレー博士に編纂のリーダーを任命する。彼は英語の用法を一般に広く募集しそれをまとめようとするアイデアを持っていた。そして、多くのすぐれたメモが刑務所付属の精神病院から届いていることに気づく。差出人の名はチャールズ・マイナー…。

 この話は劇中で語られるように当時から報道され広く知られている話であるが、映画化に当たりかなり盛られている部分も多い。大英帝国の威信がかかった辞書に犯罪者がまとめた言語の用法が使われている事は驚きではあるが、実際には特には問題にならなかったようだ。また、精神病院でのマレーとマイナーの劇的な出会いは創作である。M・ギブソンは史劇のようにかなりドラマティックに描いている。
 しかし、マイナーが殺害した男の妻と交流し援助していたことや、最終的に国外追放という事実上の恩赦を決定したのがのちの首相であるチャールズである事は事実である。

 この映画を見てだれもが思うのは、博士であるM・ギブソンと狂人であるS・ペン、入れ替えたらどうなるだろうという事。これが舞台だったらキャストを入れ替えてやるだろうなと思う。しかし、M・ギブソンがあえて博士であるマレーを演じたのは、言語を追いかけるマレーの内なる狂気、ひいては大英帝国の威信としての辞書編纂という狂気を描きたかったのかな、とも思う。そして、それは確かに成功している。
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タグ: 映画



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