2021/1/18

「キーパーある兵士の奇跡」2018英独  今日の映画

 今年はナチ映画が多くいろいろな切り口の物が多い。今回のようにドイツ兵を一人の人間として描く映画は一昔前では難しかっただろうが、「残虐なナチスが引き起こした戦争」ではなく「いつ誰もが起こしかねない戦争」と捉えなおす流れができた現在ではこういう映画が出てくるのも必然なのだろう。しかも、この話も実話だし。

 1945年のイギリス。戦争捕虜であったドイツ兵トラウトマンは収容所内での遊びでのプレイを見た地元のサッカーチームにキーパーとしてスカウトされる。しかし、反発を受けながらも彼の人柄とサッカー選手としてのプレイが周囲を魅了している。やがて監督の娘を妻としてトップリーグのキーパーとして成功を収めるトラウトマン。しかし、彼にはさらなる試練が与えられ…。

 ナチ物と言うと今年でいえば「コリーニ事件」とか「ある画家の数奇な運命」など重いものが多いが、この映画はデートムービーとも言っていい、軽いスポーツ映画になっている。この映画の軽さは悪い意味ではなく、映画自体のメッセージに即したものだと思う。
 
 戦争直後に敵国でスポーツ選手として戦うトラウトマン。しかし、周りの人々は予想以上にあっさりと彼を認める。これは実話だからという事もあるけれど、「国家によって強制された憎悪は結局消え去るんだよ」「敵に対する怨念は、素晴らしいサッカーのプレイの前には無力なんだよ」という希望を描いているからだと思う。しかも、これが絵空事ではなく実際にあった事だという事が、この希望は妄想じゃないというメッセージを伝えるのだ。

 ただ、この映画には一つ不満がある。エンディングで夫婦の再生を描いて終わるのだけれど、実際にはトラウトマンはこの妻と後に離婚している。しかし、それは映画内では説明しないのだ。これを説明してしまうと映画の余韻が亡くなるという配慮かもしれないけど。現在ではネットで調べれば一瞬で分かる事。そして、後に離婚するとしてもあの夫婦の時間は別に傷がつくわけでもないはず。
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タグ: 映画



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