2011/12/11

「陽だまりの彼女」越谷オサム著・「あなたのための物語」長谷敏司著  今日の読書

 電車で旅行に行く際には文庫本を持参する私。今回はたまたま出発まで時間が無く、本棚の未読棚から適当に2冊取り出して家を飛び出たんだけど、この2冊があまりに対照的かつ面白かったので2冊とも紹介します。

 1冊目は「陽だまりの彼女」。普段読まないベタ甘のラブストーリーなのですが、なぜか買ってしまった。きっと西島大介の表紙につられたんだろう。
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2011/9/17

「プルタークの物語」阿刀田 高著  今日の読書

 時間にせよ空間にせよ、遠く離れた人の心理を推し量るのは難しい。今の自分達と戦国時代の侍、古代エジプトの農民と中世ヨーロッパの修道士では発想も物事の優先順位も違って当然である。しかしながら、いつの時代も人はものぐさでスケベでかっこつけで…という考え方もまた捨てがたい。

 歴史を考える上では当時の人の感覚や善悪の判断基準を知る事は重要だけれど、「そもそも人間ってそんなに変わるものではない」という考えで書かれた物もまた説得力がある。今回の「プルタークの物語」もそんな考えの下に書かれた本である。


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2011/9/5

「迷宮」清水義範 著  今日の読書

久々にモヤモヤが残るミステリーだった。不愉快と言ってもいいかもしれない。でも、出来れば皆さんにこのモヤモヤを共有して欲しいとも思うのであえて紹介します。

 清水義範といえば推理小説や時代小説も書いているけど、なんといっても「永遠のジャック&ベティ」や「国語入試問題必勝法」などのパスティーシュ小説が有名。いわば「文体のモノマネ」のプロであるこの人の本は大笑いの物が多いのだけど、この人がモノマネを笑い以外の方向に向けるととたんに恐ろしい小説が生まれます。宗教をパスティーシュした「神々の午睡」なんかは宗教をモノマネすることによって宗教の愚かしさを残酷なまでにあぶりだします。

 さて、今回の「迷宮」の主人公は記憶喪失の「私」。そこに「治療者」が治療と称して色々なテキストを読むように指示する、という物語。それは「アイスクリーム殺人」と呼ばれた猟奇殺人事件に関する週刊誌記事、小説家の私信、インタビュー記録、事件調書などさまざまなテキストでした。これらのテキストの文体の使い分け、これが本当に一人の作家が書いているのかというぐらい全てがもっともらしい。これこそパスティーシュの名手たる清水義範の技術でしょう。しかし、今回はこのパスティーシュはあくまで脇役です。

 ※以下ちょっとだけネタバレあり。
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2011/8/25

「家康死す」宮本 昌孝著  今日の読書

 水戸黄門が終わったりと時代劇は凋落気味だけど、「陽炎の辻」シリーズを中心に時代小説は再びブームらしい。ただ、佐伯泰英も元はスペインを舞台にした小説を書いていたりと実は他分野からの参入組も多いのがこの業界でもある。

 今回の宮本昌孝も他分野参入組。まだライトノベルというものが存在しなかった時代、一大ファンタジー巨編「失われし者タリオン」という傑作を未完のままほっぽりだし、時代小説に移った人である。


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2011/8/24

「パウドリーノ」ウンベルト・エーコ著  今日の読書

 世の中には読んでいるだけで「う、この人出来るな」という作家が存在する。今回のウンベルト・エーコなんて人はその代表格だろう。思えば高校ぐらいの時、単に読んどいたらかっこいいなというだけで読んだ「薔薇の名前」がこの人との出会い。今読んだらもっといい読み方が出来ると思うけど。

 キリスト教や中世史に関しての深い知識。衒学趣味的な世界…。そんなエーコのイメージに対し
「いや、そんなに難しいこと書いてないし。気楽に読んでよ。」
 というエーコの返答がこの「パウドリーノ」ではないだろうか。



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