初代ゴジラ1号スーツの足指は4本である。
親指はその後のゴジラと違い、かかと近くから生える。
腰で上下に分断された1号スーツの下半身は、
初代ゴジラの下半身アップ用として使用された。
下半身がアップになるシーンのほとんどのシーンがこの下半身スーツで撮影されていると推測される(註1)。
よって劇中、何か所かで確認できる親指はいずれも下半身スーツのものである可能性が高い。
つまり初代ゴジラの足指は設定的には4本なのである。
一方、メインスーツである2号スーツはどうか。
宝田明、河内桃子と撮影したスナップ写真、ポスター図版に使われた一連の特写では、
親指が確認できず3本指であることは知られたところである。
前述のように下半身アップでは1号スーツが使用されているため、
2号スーツの足指は劇中ではほとんど確認することが出来ない。
スチール写真ではどうか。
○芝浦の鉄塔シーンで左足親指と見られる突起が存在。だが形状はかなりいびつである。
○初期撮影の国会議事堂破壊シーン(リテイク前)で左足親指を確認できる。
○補修中の横たえられた2号の写真で左足親指がある。右足は1本指が見えるが、これが親指とすると足の形が不自然である。人差し指とすると親指が無いことになるが、親指は反対側へ折れているのかもしれない。
親指が確認できるのはこれがほとんどすべてである。
次に親指が無い状態が確認できるのは、以下のとおり
○河内桃子との2ショット2種で右足親指が無い。
○ポスター図版の特写で右足親指が無い。
いずれも左足は陰になり有無は判断できない。
左足関しては、雑誌の企画で隅田川に沈められる直前の写真で、
親指が無いように見える写真が1カットだけある。
これらの情報をまとめると、次のようになる。
左足には親指があった。が途中からなかったかもしれない。
右足には親指はなかった。が途中まであったかもしれない。
普通に考えれば、撮影の途中段階で両足の親指を取っと推測できよう。
内側に伸びた初代ゴジラの足親指は歩行の際邪魔になっただろうから、
初期の撮影で多発したゴジラがコケる事を防ぐために取ったのだろうか。
アップは1号に任せ、2号はアクション用として柔軟に対応したとすれば、
左右非対称に親指を取った(残した)可能性も捨てきれない(註2)。
結論:設定上は4本指だが、2号スーツとしては3本指も有りである。
もしかしたら右足3本、左足4本の可能性だってある。
模型で3本指の初代ゴジラを発表したら、
はたしてどのような反応が返ってくるだろう?
註1
スネに生じたシワの有無により判断できる。
肩紐で引っ張って支える下半身スーツにはシワが無いが、
全身スーツの2号にはスネ表皮のたるみが顕著に認められる。
註2
先にあげた補修中の写真を検討すべきだろう。
この写真は2号スーツの足親指の形状を知るほとんど唯一の資料だが、
はっきり映っているのは左足のみである。
上記の論考を否定できる資料をお持ちの方、
「この写真の存在を忘れているぞ」などのご意見、
ぜひぜひお寄せくださいませ。

4