個人的ゴジラ映画ランキングの4はこの作品。
あなどるなかれ、脚本、演出、キャスト、特撮、音楽、どれをとっても極上の一作。
東宝特撮オールスターの出演陣を見ているだけで楽しくなる。
古川隊員役の土屋義男の壊れっぷりやらどこまでいっても沈着冷静な平田昭彦。
熱血直情の久保明にキンゴジや海底軍艦とはガラリと違う高島忠夫。
本編を見てるだけであきないよ。
特撮に関してはやはり操演技術の極みであるカマキラス&クモンガを挙げないわけにはいかないが、それに加えて合成の多様さが効果を上げている。
ミニラとサエコ、夜のジャングルを徘徊する大カマキリ、
主人公の目の前に飛んでくる燃え盛るカマキラスの足。
これらは大胆な合成で表現される。
今までに無く怪獣と人間が近しい存在として描かれているわけだけど、これも同じ島に同居する故。
これは南島モノの利点だよなあ。
そのほか、浜に向かって盛り上がる水面からのゴジラ出現、
ミニラ誕生シーンのうごめくカマキラスの口元アップとか、
最終決戦でのゴジラとクモンガのアップの切り返しとか、
これまでの作品では見られなかった演出がいい。
映画の中にはクモンガの主観カットやゴジラの主観カット(クモンガに目を潰されたのでぼやけてる!)も出てくる。
これも円谷監督はやらなかったこと。
前作より特技演出を手がける有川貞昌の気負いが感じられる演出だ。
ま、編集は依然円谷監督が手がけていたそうなので、アップ切り返しの編集のスピード感とか、実際は円谷監督の指揮下である可能性もあるのだが。
しぶいところでは実験失敗による嵐のシーンの特撮も味わい深い。
裂ける木、流れる泥、雷雨。
こういったところのディテールの積み重ねがいいんだよなあ。
気象コントロールタワーの巨大感とかね。
ゴジラの造形は、メガロゴジラと不人気を二分する息子ゴジ。
これまた嫌いな人は大っキライなんだろうけど、ワシは好きなんだなあ。
ミニラの親、今作のゴジラとしてはあれ以外考えられないよね。
南の島に雪が降る、ラストシーン。
雪が舞う中のゴジラ対クモンガ、雪に覆われていくゴジラ親子。
全ゴジラシリーズの中でも印象深い、幻想的な名場面である。
そうそう、サエコの父親は考古学者。
南海の無人島で何の研究してたんだろうか・・・。
個人的には、この作品は私の見た2作目のゴジラ映画。
84ゴジの半年後、近くの映画館で84再上映とのカップリングで公開されたのを見てるんだけど、いまだにそのときの映画館の雰囲気なんかを覚えている。
それは案外幸福だったのかもしれないぞ、と思う今日この頃なのだ。

0