配給米に有り付けた 童は幼子背に負ぶい
川の土手にて見送るは 工場へ向かうお母ちゃん
チンチン市電に乗り込むは つぎはぎ背広の会社員
悪ガキ共が額寄せ 小遣い稼ぎの策を練る
夏の朝日が眩しいか 川の小魚草の影
大八車の人が行く 8月6日の朝景色
遠き空より聞こえ来る 魔性の咆哮重低音
斜に差す陽光機に受けて 銀色輝くエノラゲイ
怪鳥測定テスタ−を 落下傘にて投下せし
アメリカ兵が落ちたぞと 子供等駆け出す8時過ぎ
悪魔の子供が舞い落ちる リトルボ−イがその名前
産業奨励館の上 小さき太陽破裂せし
父ちゃん兄ちゃん兵に行き 学徒動員軍工場
35万の市民等は 武器も持たざる庶民なり
惰性で走る市電には ハンドル握った運転手
つり革掴まる乗客も そのまま姿で炭となる
赤レンガに焼き付くは バルブコックの影の跡
全身ガラスの破片受け 彷徨う人々倒れ行く
アトミックボムを呼ぶ時に アメリカ英語でこう例う
ニュ−クリア−ウェポンと 綺麗サッパリ核汚染
映画「メテオ」に「アルマゲドン」 「ディ−プインパクト」もまた然り
難局救うは核兵器 あの国意識に危惧残り
原爆ド−ムと向かい合う 崩れた瓦礫もそのままに
復興市内に囲まるる 時の止まった絵図を見上げる
