朝の冷気が沁む季節 水色空も白々と
一枚上から羽織ろうか それとも姿勢を正そうか
ひさご通りを千束へ 我を嫌ったス−パ−の
裏手入れば店支度 お祭り見込みて6時前
シ−トかぶった露天商 車横付け荷を降ろす
夜と昼との間時 しばしの閑散憩いとし
居酒屋仕立ての店先の 簡易なテ−プル陣取りて
朝からご機嫌若者衆 酒が地声を大きくす
大鷲神社の裏手門 入れば本日酉の市
深夜の一波納まりて 昼の参拝客を待つ
大和武尊を祭神に 遠征勝利を祝う宮
鶏奉納浅草に 酉を縁起の祭事起き
鷲の爪にて掴み取る 銭を掴むとあやかりて
竹の熊手で掻き入れる 商売繁盛語呂合わせ
オ−ソドックス並ぶ店 今年の風刺の変わり品
キャラクタ−キティ−の大熊手 売り手も仮眠か留守の店
定価表示はあえて無し まけた(負けた)買った(勝った)のやり取りを
楽しみ上乗せご祝儀で 手締め商談成立す
もんじゃ饅頭缶ス−プ 少しの暖をば鳥居下
夜の商売終えた方 タクシ−降りるを横目とし
江戸の当時は吉原で 遊び興じた若旦那
口実代わりに熊手買い ちんとんしゃんでの朝帰り
今年開催二の酉は 火事の懸念も少し癒え
恵比寿似たかの儲け神 欲がからんだ信仰心
用を果たした古熊手 返納致するゴミ捨て場
どこぞの店先まとまりた 売り買い知らせる手締め音
アルバイト風の巫女達が お札補充す赤袴
商売離れし疎外者の 物見遊山の我を見る
