人気マンガのゴム草履 明治生まれの婆様に
右手引かれて通う道 砂利道凹凸水溜り
左手下げしお楽しみ 金魚のバケツに象じょ−ろ
町に二軒のお風呂屋へ 宵の刻なる行事かな
脱衣所籐のカゴ並び パンツを足先投げ捨てば
蒙古班の消えた尻 バケツのおもちゃが駆けて鳴る
八百屋の玉ちゃん同じ年 ペンキ屋恵ちゃん手招きの
湯舟に恐ると足を入る 湯温は子供にちと熱い
10まで数えて出るように なかなか10が出て来ぬは
頭の悪さか利口さか 子供ながらに湯を好む
婆様の膝に仰向けて、頭洗うも石鹸で
若い娘子粉シャンプ− 10円也の贅沢品
完熟乳房に垂れた乳 つるつるワレメに毛のワレメ
女湯育ちがいきなりに 男湯入れと一年生
松茸シメジにサツマイモ 初めて目にする同族の
チンコにいささか怖気付き 仕切りの向こうに戻りたし
そんな田舎の幼子が 大病事故にも会いもせず
白髪混じりの口髭を そっと湯に浸く蛇骨の湯
職人描きし富士眺め 分かつ板塀女湯の
声のト−ンを懐かしむ 男女の意識の無き時代
