2012/1/4
小学三年夏休み 自転車こぐのもサマ−になり
虫かご動かぬクワガタを 突いて指先はさまれる
開襟シャツの薬売り 首に掛けたる手ぬぐいで
額の汗を当てて拭く 玄関板の間腰下ろし
季節の変わり目見る顔で 北陸言葉が聞き辛し
補充の薬を置く前に 出したカルピスぐいと飲み
手招き頼んだハサミ研ぎ ついでに出刃もお願いと
研いでも使うあても無し 赤錆包丁甦る
涼しげ音色は風鈴屋 天秤棒の前後ろ
夕立来たればどう致す 藤の花似た吊るし鐘
盆を迎える仏壇の 前は花型らくがんに
供えたお菓子も気に掛る 水色提灯セミ時雨
樽桶かついで金魚売り いつもの客寄せ呼び声に
魅かれぞうりで駆け出せば ダメよと後ろで声がする
ロバのパンのテ−マ曲 ちり紙交換呼ぶ声や
チャルメラ鳴らした夜鳴きソバ 牛乳配達朝の音
陽影も出来ぬ炎天下 巣鴨の地蔵に参る道
久しく目にする金魚売り 子供の頃の我が寄る

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