ドンと鳴った花火が綺麗だなぁ 日頃無口なご主人が
隣りのベランダ上機嫌 そんな厩の橋の部屋
隅田の川で散る花火 周りに高いビルも無く
打ち上げ会場鼻の先 光と音はズレもせず
当時の我も二十代 ドア−のチャイムに開ける鍵
見慣れたお隣ご夫婦が 引越し挨拶御懐妊
子育てするには故里と 信州蕎麦を置き土産
あれからかれこれ30年 生まれた赤子もいっちょまえ
隣に越したる老婦人 足が不自由で階段の
手摺に埃が溜まらぬは 老女のヒザの痛み故
今年も上がるは川花火 屋上上れぬ一人身の
老婆気遣う心根で、視線上げたり下ろしたり
建て替え撤去で花川戸 ここは第一打ち上げ場
どうやら一人身暮らしには 花火は切れぬ縁となる
言問い通りに江戸通り ビルの屋上見下ろせば
道幅動けぬ人の群れ 音だけ聞きて光見ず
納涼即席浴衣族 身の振る舞いに品は無し
しゃがみパンチラ大股で 奇声を上げる撫子か
3/11どう致す 花火に鎮魂意味が有り
開催されたる川花火 東北届けよ破裂音
カメラの撮影ド素人 瞬時がどうにもつかまらず
流れる軌道の光帯 まるで涙目見る様に
