2013/1/17
春のうららの隅田川 昇り降りのジョギング者
彼の日震災桜月 自粛見上げる人も居ず
「桜」重荷を知る民は 鎮魂願い首垂れて
仰ぎ見上げる事忘れ 吹かれ落ちたる花を見る
心痛めた年は過ぎ 誰が告げたか花が舞い
カメラ三脚人の趣味 桜をダシに写す塔

2013/1/4
爪先下がりで降り立つは 熱川温泉いで湯街
湯煙り上るが懐かしい 縮小別府にほど似たり
出迎えマイクロ運転手 お宿の名の入るハッピ着て
一組二組別れ乗る 待機のタクシ−生あくび
日にち時間を拘束す 宿の予約はせぬ旅で
足の向くまま宿探し 急坂上ろか下ろうか
大型ホテルにあるまじき 垂れ幕書かれた料金は
客の争奪値引き策 何を切り捨て生き残る
薄い財布を確かめて 値段釣られる惨めさを
あえてこの場はグイと呑み 膝を「く」の字で上る坂
名の有るホテルの玄関に 立てば館内明かり無く
人気も在らず枯れ落ち葉 自動ドア−前吹き溜まり
どうやらここも廃墟ビル 垂れ幕料金断末魔
お湯が枯れた分けで無し 痩せた経済墓標塔
湯気の立つ川沿い下り 扉開かない遊技場
海の幸出す小料理屋 閉店悟らす朽ち看板
下りた坂道また上る イチゴ農家の軽トラに
道を譲って見送れば 空荷の車も重く見え
シュ−と音立つ湧出泉 櫓に湯の華白く付き
100℃近くの熱水が 無駄な努力の様に見ゆ
一声掛けたは熱川荘 一部屋都合はいかにやら
手もみ迎えはせぬけれど 遊びた部屋が埋まりたり
預かる鍵で部屋に入り 窓を開ければ湯煙りを
見下ろし遠く相模湾 津波しぶきの危惧は捨て
湯舟エコ−の吐息吐き 湯の有り難味には変わり無し
当日少なき泊り客 湯を共にする刹那縁
料金見合った夕食を 肴と致してつぐビ−ル
これより過ごす夜長時 噴き出す蒸気話し相手とする

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