よっこい庄一駄洒落吐き 座るも起きるも痛む膝
すがる思いの藁の湯は 上州名物薬の湯
四万の病に効くと言う 噂をつてにバスに乗り
川に沿うたるドン詰まり 四万温泉はたむら前
軽トラ走れる道の幅 短いメインストリ−ト
食事処に土産物 今はホテルの中で済む
朱色の欄干橋向こう 「千と千尋」のモデル宿
カメラ構える観光者 大正ロマンの香り立つ
粋な湯船を配したる 蛇口に硫黄が石となり
お一人様用蒸し湯の戸 開ければタイルのソファ−椅子
土足でどうぞの違和感で 階段上り休憩場
自販機求める発泡酒 男女の区分けの無いトイレ
それはもとより混浴湯 今更便所を分けずとも
湯船で晒す羞恥心 素早く合点で閉める木戸
混浴内湯の岩風呂に 痛む膝から先ず浸かり
メガネの曇りが晴れる頃 極楽釜戸に身を沈む
二つの湯船を岩で分け 湯温の違いを行き来する
仕舞いに岩に上りして 初老オヤジのはしゃぎ振り
四万の効用いつぞ出る 即効性は無い模様
脱衣所戻る数段の 見ゆる階段気後れもする
