師走の声を横に置き 訪ね来たるは中之条
駅前バスの時刻表 本数わずかと見る時計
バスと言うよりファミリ−カ− それでも料金受けが有り
乗り来る地元の年寄りは 毎度の病院通いなり
沢渡温泉バス停に 降車で用意し小銭入れ
予約の旅館にちと早し 散策するほど店も無し
鳥居見上げる石段を 痛む膝にてヨッコラショ
蚊の目玉ほどの信仰心 礼はせずとも脱ぐ帽子
境内子供の遊び場か それも遠い日の彼方
鉄棒ブランコ滑り台 ペンキが剥げて幾年か
今は悪ガキ声もせず ビ−玉ゴム跳びコマ回し
幻ごとくの想い出が 我れの都合で甦る
上州名物空っ風 今日はどうやら休息日
はらりはらりと落つ銀杏 落ち葉が地面に毛布敷く
一足出すのをためらうは 黄色き屍葉の命
偲ぶ心でそっと踏む 熟した柿の実明日は落つなり
