乳頭温泉終点の バスで臨むは上り坂
息を切らせるほどで無く 蟹場の湯宿のフロントへ
今宵の部屋は在りますか? 秘境なりにて懇願す
受付け出来たる若い衆が お一人様ではご勘弁
その前電話し孫六も 電話応対ズッコケて
いささか厳しい観光湯 立ち寄り湯券で巡るとす
内湯は男女それぞれの メガネも曇る内湯なり
これなら何処でも在るお湯と 記念の写真を撮って出る
湯宿離れて露天湯は 小川へ向かう下り道
夏場の夜は足元の マムシを踏んで行く湯小屋
男女の区別がござるのか? 脱衣所迷って服を脱ぎ
湯船の提灯蟹場の湯 先客挨拶目もくれず
湯をどうこう言う前に 湯心知らぬ観光者
温きお湯さえ居心地の 悪い冷え湯となりにけり
掛け湯するのは当たり前 見栄も外分脱ぎ捨てた
同等皆して丸裸 根本理屈を知らぬ馬鹿
彼等で居心地悪い湯を 宿のせいだと思わざる
早めに退散携帯の アンテナ立つ地で神頼み
黒湯の女将が電話口 お部屋のご用意出来ますと
これからお迎え参ります 一人客さえ送迎か
あそこを悪く言う気無し スタッフ教育それぞれで
経営方針ござろうし 我れも迷惑一人客
バスの終点空地待ち 車到着名を呼ばれ
わざわざすまぬと頭下げ 蟹場湯看板後に置く
蟹場湯応対一流品 若い青年親切で
それに比べて歩きの湯 孫で持ってもひ孫で持たず
