伊豆で叶わぬ混浴を 帰路の途中の湯河原で
迷う事無し裏路地の 雑貨屋余裕でお茶を買い
板の間玄関伊豆屋にて 声を掛けれど誰も出ず
「女将」と叫びて奥の部屋 二階を探せど女将居ず
湯代は帰りでよろしいか 手慣れた順路で露天湯へ
先客柔肌乳が浮く 当然過ぎる湯の景色
お決まり挨拶岩を背に メガネ頭に顔洗い
ピント合わない裸婦像は 岩に腰掛け火照り取り
ハンドルネームで呼び合うは ネットつながり湯の仲間
塩ビパイプを湯に挿して 湯底の枯れ葉吸い上げる
湯船掃除のお手伝い 我れも手を出し浮かぶ葉を
拾い上げたる共通項 心の垣根の戸が開き
湯船グルグル歩き出す 粉々葉っぱ浮遊物
渦を作って真ん中へ ご自慢パイプで一飲みに
珍な道具をカメラにて 納めていいかと問い掛けば
私が持てば絵になると 許可得た裸婦を写したり
見覚え女優に似たお顔 とんと名が出ぬボケの時期
あえて聞くのも失礼で 混浴ならぬ困惑湯
また逢いましょうと先に出て 廊下マダムの出で立ちで
ご婦人女将を探したる そのままどうぞと手案内
玄関戻ればラフ女性 女将が来ずして脱げぬ靴
湯街散策混浴へ 一人旅にて裸婦となり
二階で見付けた女将さん 次は泊まりでいらっしゃい
その日の気分で安くする アバウト会話に婦人の笑い声
