2016/2/27
小学時代の月刊誌 文通希望の欄が有り
個人情報ダダ漏れも 現代人より理性立ち
山しか見えぬ九州で 東京ラジオの局探す
北京ロシア語混在し 憧れ都下に出す手紙
返事届くは写真付き 猿ヶ京へ行ったとの
吊り橋自慢気娘子の 刻まる記憶に消えぬ笑み
高崎山なら身近なり 猿ヶ京とは何処やらほい
上京してから気に掛かる 遠き少女の面影が
新幹線にて降り立つは 上毛高原ちらほらの
人の後ろに着いて出る 駅前ローカル村ごとく
バスに揺られて猿ヶ京 昼時食堂見当たらず
腹ペコ散策路地に花 屏風の山には雪残り
関所跡地の古家にて 訪ね出される粗茶なれど
心地付いたと見渡せば 我れの視線を読み語る主

2016/2/20
隅田に架かる桜橋 水彩絵の具は街画伯
浮かれ散歩の犬の舌 不登校児も風仰ぐ
部屋を出たらば来たる春 交通費さえ要らぬ場所
人生沿いたは隅田川 花川戸には花見舟
町内会は向島 客商売は不慣れなり
職人町の露天商 おでん焼きソバ人の列
震災過ぎて5年経ち 自粛の催事も甦り
ビール缶のプルトップ 派手に開けるに気も病まず
落ち葉季節はセンチなり 花が舞うのを心待ち
何故に桜に集う民 一つの日本の風土病
ブルーシートで場所取りは 新入社員の初仕事
パンチラ乙女もご愛敬 今宵は何処に泊まるやら
恒例独り身花見路 鉄のツクシが加わりて
古きと未来の合わせ絵図 人波飛び交う中国語
ハラリ舞う花肴とし 屋形舟へと上げる缶
2015の春景色 人生冬なりふと忘るる

2016/2/13
真冬最中に降る雨は おっとどっこい部屋の中
いささか臭いもする汚水 上部階よりおすそ分け
これでは住めぬと仲介者 さすが気長な我れなれど
ホテル避難を受け入れり スカトロ趣味は無きに故
部屋の荷物は引っ越し屋 我が身隅田の川を見る
心残りは観賞魚 受け入れ施設は無い世情
部屋ごと解体瓦礫山 エサやり往復1時間
職人業者と会わぬ様 日の出の頃に通う道
天井落ちて壁壊れ 埃の臭いのただ中に
何とも淋しい熱帯魚 犬のごとくに尾振り寄り来る

2016/2/10
難が来たるは良き印し 魂修行の試験なり
ステージアップを使命とす しかし赤点追試験
「難が来たらば喜べ」と 心の出来た人ぞ言う
ヘコタレ精神キツイ坂 なだらか山さえ壁に見ゆ
越して二月も五回目で ON寝を覚ます物音は
キッチン照明落ち砕く コードでブラリ垂れて揺れ
上の階より漏水は 年中行事で四回目
何だ?難だ!の水難は 汚水したたるいい男
専門業者と仲介者 室内滝見は景勝地
靴下濡らす床板で 滑りなさるな青き顔
水難相ではかすり傷 河川決壊大津波
傍観呆れる程度では スモール難儀と言い換えり

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