初夏の日差しは天空に 足元影を短くし
いい湯訪ねた鬼怒川路 足を延ばして川治の湯
混浴湯船は薬師の湯 温めのお湯にて長くなり
一期一会の湯話しも 川風空にと持って行き
湯船共する旅人の 想い出話しに出た店は
対岸土手の上に在る 場末通りのラーメン屋
毎度のルートで通る道 カブがやっとの道幅に
スナック居酒屋朽ち看板 人の暮らしが窺えぬ
鉄橋渡るディーゼルカー 山のこだまでそれを知る
湯から立てば重い身を 現実戻す時間割り
駅に帰るは遠回り 何故か気になるラーメン屋
橋を渡って遊歩道 階段辺りで見える店
これは失礼営業中 すっかり廃墟と決め込んで
恐る恐ると戸を開けば 想い出話しの方も居る
これから釣りだと言う店主 お婆々と呼び付け水が出る
ラーメンビールが出る合間 湯街栄華の頃を聞き
温泉タマゴは何処も有る 店看板に謳われる
温泉ラーメンいかがなり 薬師の源泉飲湯出来
ほど良き川風湯上りの 火照った肌に浮く汗を
涼しく撫ぜてラーメン屋 違う意味での汗が噴き出る
