酸ヶ湯湯船で見上げれば 天涯板張り真新し
女性陣等が来る段も すだれ垂らして風変り
移り変わりが風呂に見ゆ 混浴文化を守る宿
仕切りの塀も動いたか それを察する再訪者
瀧湯の湯量不自然で 白濁湯船も薄くなり
中年オヤジのスタッフが 裏に通じる戸を開ける
声のやり取り娘さん 瀧湯の調子伝え役
間が空く時間に声を掛け 足湯姿の我れに笑み
四分六分の湯に注ぐ 木筒に長物突き刺せば
ドロリ湯の花澱が出て 濁り湯元に戻りけり
フェイスタオルを渕に置き 立ち湯で来られるご婦人は
見られる意識で頬緩む 混浴不慣れな挑戦者
酸ヶ湯だからの混浴は 一般庶民の観光者
蕎麦屋に入れば蕎麦頼む 同じ理屈で丸裸
温泉談義で咲かす華 お国訛りもそれぞれに
瀧湯に向かう丸い尻 ビニール袋を伝授せし
風呂は誰しも素に戻る 地位や名誉や貧困も
洗い流して温めて 男女の垣根も低うさす
去年一昨年その前と 酸ヶ湯景色に変化有り
マナーの悪さが塀に出て 先細りの文化危ぶむ
